【Plus Jack】megane pin

■もはや「メガネそのもの」。鯖江を象徴するピンズ
メガネの街、福井県鯖江からまたユニークなアイテムがやってきた。メガネ素材を使ったアイテムは多くあるが、これはもうメガネそのもの？ という声が上がる「megane pin（メガネピン）だ。ノーネクタイ時代のいま、ジャケットの襟元にワンポイントの主張ができる「ピンズ」は今やビジネスの定番アイテムと言える。それが「メガネ」の形をしていれば、意表をついたデザインに注目を浴びること間違いなし。限りなくホンモノのメガネに近いこのピンズは、メガネを自身の個性の一つにとらえ、「メガネ好き」を公言している人方への気軽なプレゼントに特に喜ばれそうだ。しかし実は、かわいいだけじゃない実用面の秘密もあるとか……？ その正体やいかに。

■メガネ作りで培った技術を雑貨にも注ぎ込む
megane pinを作ったのは、鯖江でメガネ製造業を営む「Plus Jack（プラスジャック）」。代表・津田功順氏の祖父の代からメガネ作りに携わっており、それを受けて父が1988年に創業。当初は、メガネの一部だけ、耳にかかる「つる（テンプル）」を専門に作る会社だったという。1980年代から始まったブランドブームによって鯖江でもメガネを大量に生産する体制を整えたが、それによって専業の細分化が加速し、Plus Jackのような専門メーカーが多く生まれた。現在はメガネの完成品までを、小回りをきかせて小ロットで作り上げる。津田氏はそうした技術を雑貨作りにも向け、2010年前後から雑貨のOEMを、そしてついに自社ブランドでの展開に至る。「メガネは人の目を助けるものですから、私たちが作る雑貨も、何かひとつは機能性を持たせることを特徴としています」（津田氏）。メガネの枠にとらわれないユニークなアイテムは、そんな発想をもとに生まれる。

■カラバリ豊富なセルロースアセテートをメガネ職人が加工
Plus Jackのアイテムは、多くのメガネの枠に使われる「セルロースアセテート」を用いる。これは綿花由来の植物性樹脂であり、肌への当たりが柔らかいことから、顔に触れるメガネにはうってつけの素材だ。また、加工のしやすさと濡れたような透明感も特長。樹脂とはいえ型に流し込むのではなく、刃でセルロースアセテートを切削して成形していく。それから、曲げ、貼り付け、磨き、埋め込み、打ち込みなどのほとんど工程を人の手で行うからこそ、微妙なニュアンスの表現が可能なのだ。megane pinの形やレンズの枠も、もちろん削り出し。時代に流されない永遠の定番「ボストン」型のフレームをデザインベースに、小さなメガネを職人たちが作り上げていく。クラシカルな黒縁、「デミ柄」と呼ばれるべっ甲柄風のブラウン、ダークカラーを散りばめて落ち着きを見せるブルー、ヴィヴィッドな赤、ダークなジャケットに映えるホワイトと、色のバリエーションも楽しい。ラペルのほか、帽子やバッグに付けてもかわいらしい。

■なんと「ホルダー」にも！ 個性と機能を兼ね備えたニクい奴
メガネ好きにはその象徴としてラペルに身に付ける使い方もおすすめ。そして「視力は良いんだけど、実はメガネに憧れがある」という人に、「ラペルにかける」のもアリなのではと伝えたい。これで少しはメガネへの気持ちが満たされるかも（？）。さらにこのmegane pinは、一時的にメガネを外したときのホルダーとしても活躍するのがスゴイところ。やり方は、テンプルをメガネ穴に差し込むだけ。特にPC用メガネや老眼鏡、サングラスなど、必要な時にしか使わないグラスウェアは、外した時に置き忘れたり、胸ポケットに入れたままかがんでしまい、床に落とし、踏んで割れるといったトラブルが多いもの。megane pinは、実はそんな悩みを解決するために作られたのが始まりなのだ。さりげなく個性を発揮できるデザインの良さ、発色のキレイさ、そして実用的な機能美。それらがギュッと詰め込まれた、小さいながらも大満足できる傑作ピンズが産声を上げた。