大胆に刻む、最小の一手
炎が揺れる琥珀のぐい呑み
■江戸の粋で風流な文化が生んだ、伝統の花切子
江戸切子は、江戸時代に生まれ、大正から昭和初期にかけて発展。その後、戦争で一時は製造が下火となったが、再び東京の下町エリアで復活をとげた。山田硝子も、職人の街・墨田区で三代に渡り江戸切子を作り続けている。二代目の山田輝雄氏は、「日本のガラス展」の大賞のほか、数々の賞を受賞した名工。ギャラリーで個展を開くなど、もはやその作品は芸術品の域に達する。現在はその息子の真照氏が、三代目として工房を切り盛り。現在では伝統的な幾何学模様や、植物や動物を彫る花切子を駆使したオリジナル商品に加え、琥珀色のガラスにモダンなデザインを施した現代的なアイテムを生み出すなど、積極的に新たな試みを続けている。
■潔い大胆なカットが、燃え上がる炎のように揺らめく
江戸切子と言えば、繊細な幾何学文様を施したものを想像しがちだが、必ずしも、模様が複雑であればいいというわけではない。何十とある文様の中からどれを、どこに、どのように施すのかは、職人の腕とセンスにかかっているからだ。小さなグラスや杯に、無限の可能性を描き出すのが職人技。山田硝子の「ぐいのみ『焔(ほむら)』」は、違った色の複数の層からなるガラス「色被せ(いろきせ)」の特徴を見事に生かした酒器。琥珀色の上に、瑠璃やグリーンといった寒色系の色を被せたぐい飲みに、計算しつくされた必要最低限の大胆なカットを入れる。瑠璃やグリーンのガラス面に深く刻まれたカットから、まるで炎が燃え上がるように浮かび上がる琥珀色は、躍動感あふれる炎のようだ。
■煌く琥珀色の輝きが、大人の時間を演出してくれる
地球の青さを感じるような澄んだ青や緑の底に、まるでマグマのようにきらめく琥珀色。クリスタルは無機質なのに、どこか温かみを感じるこの小さなぐい飲みの中には、職人がしかけた無限の宇宙が広がる。これこそが一日を締めくくる至福の時間にふさわしい、大人のための極上アイテム。照明を絞って、大切なパートナーと二人、このぐい飲みでさしつさされつすれば、グラスの底に煌く琥珀色の輝きが、いつもの時間を特別なものにしてくれる。もちろん、一人とっておきの美酒をゆっくりと味わうのにも最適。味覚は視覚にも影響を受けるという。いつもの日本酒も、このぐい飲みを使えば、さらに深い味わいとなるだろう。
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