広島・福山のデニム生地メーカー、カイハラが「ぜひ魅力を伝えたい」と力を込める茶綿のデニム生地。それがいままさに「茶綿デニムプロジェクト」として動き出した。しかし茶綿という言葉はヴィンテージ・デニムマニア以外は聞き慣れないものだろう。そこでここでは茶綿の魅力を詳しく伝えていくとともに、デニムメーカー・カイハラの取り組みの凄さ、驚きの縫製工場現場レポート、完成したジーンズの特徴など、デニムやジーンズを多面的に語り、「茶綿デニムプロジェクト」の全貌を解き明かしていきたい。第四回はカイハラのデニムをジーンズに仕立てる縫製工場にフォーカス。
世界のジーンズメーカーが認めた
驚異の技術を持つ縫製工場
今回の茶綿デニムをジーンズに仕立てるにあたり、縫製はカイハラと付き合いの深い「SAAB(サーブ)」が担当した。SAABは1987年に創業したジーンズの洗い加工ファクトリーであり、ユーズド加工などジーンズの加工に関するあらゆるノウハウを持つ。近年では縫製工場もオープンし、あの世界的ジーンズメーカーのジャパンメイドアイテムを日本で唯一請け負っており、その技術力と信頼性の高さで業界内でも評判を呼んでいる。ユーズド加工はSAABグループの1社であるサルティが手がけた。同社代表取締役・岡部一宏氏は「私たちも単体で見ることはあっても、茶綿・白綿を並べて加工することは普段ありませんから、これほど違いが出るのは面白いと思いました」と二つのジーンズの感想を述べる。
SAABの縫製工場は大分にある。ここでは約60名のスタッフが日に最大700着のジーンズを作り上げている。ジーンズはパッチやポケットのステッチ、ベルトループ、カンヌキなど、縫製や部品の箇所を縫製・製作する工程を経る。種類の異なる特殊ミシンを何台も駆使し、複雑な作りを猛スピードで縫い上げていくのが印象的。「ジーンズほど仕様書が細かいものはないですよ」と話してくれたのは工場長の末本昌之氏。ジーンズの作り手というのはこだわりが強い人が多い。そしてはく人もまた、自分らしいこだわり方でジーンズを選ぶ。作り手の思い描いたジーンズ像を狂いなく実現するため末本氏らはミシンを変え、針の幅やステッチのピッチを変え、要望に100%応えていく。こういう人たちが茶綿のジーンズを作ってくれたのだと考えるとさらに愛着が湧いてくるし、「間違いのないものをはいている」と胸を張りたくなってしまう。
第三回 供給先は世界中。カイハラデニムの凄さとは >>
第五回 究極のヴィンテージジーンズが登場 >>
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