藤巻百貨店が選ぶ「日本酒」の世界

日本の優れた技術を駆使したアイテムを紹介し続けてきた藤巻百貨店から、満を持して日本酒が登場する。現在の日本酒を深く知る長谷川浩一氏にインタビューして見えてきた日本酒の今までと現在、そして未来。世界でも類をみない作り方といわれる日本酒の奥深い世界を、一緒にのぞいてみよう。

いまこそ日本酒を飲みたい!興味を持ち始めたあなたへ贈る、藤巻百貨店流のススメ

いまこそ日本酒を飲みたい!
興味を持ち始めたあなたへ贈る、藤巻百貨店流のススメ

日本酒は、いまや欧米やアジアをはじめ世界各国で注目されているお酒だ。しかし当の日本人に関しては、無類の日本酒好きがいる一方で、「日本酒はちょっと苦手……」と敬遠している人も多いのではないだろうか。または「興味はあるんだけど何から飲んだらいいのか……」と、選び方がわからないという声も聞こえてくる。藤巻百貨店ではそのようなハードルを感じている人に向けて日本酒の魅力とおいしさを伝えるべく、「はせがわ酒店」代表取締役社長の長谷川浩一氏にご登場いただいた。同社では入門からコアなアイテムまで幅広く日本酒を取り扱っており、「受賞した日本酒が店頭から消える」ともいわれる「SAKE COMPETITION」に協力するなど日本酒の普及とレベル向上に力を注ぐ。長谷川氏自身も業界きっての飲み手であり、現在の日本酒がどんな風に見えているのか、その視点を参考に、日本酒を学ぶ手始めとしたい。

はせがわ酒店が築いてきた日本酒のスタンダード

はせがわ酒店が築いてきた
日本酒のスタンダード

「はせがわ酒店」は日本酒を好むものなら知らぬものはいないほど、そのラインナップと品質管理に気を配る酒販店だ。しかしはじめからそのような店であったわけではなく、長谷川氏が家業である店を継いだばかりのときには「いわゆる普通の酒屋」だったという。ビール、ワイン、ウィスキー…と、お酒に力を入れるたびに価格競争に巻き込まれ、最後にたどり着いたのが日本酒。「その頃売れている日本酒がぜんぜんおいしいと思えなかった。でもどうやら地方の酒蔵の、東京には入ってこないものの中にうまいものがあると聞いて、詳しい方々と蔵めぐりを始めたんです」(長谷川氏)。
最初の年は300軒もの酒蔵を訪れ、自身がこれだと思えるお酒を仕入れて販売を開始。「ただ、冬の蔵で飲んでおいしかったのに、夏に届いたら味が変化していることもあって。『冷蔵すると保持できるのでは』と思って、店内すべて冷蔵できるようにしました。日本で一番早かったと思いますよ」(同)。

個性ある様々な味わいは酒蔵からのメッセージ

個性ある様々な味わいは
酒蔵からのメッセージ

当時「酒なんか冷やしてバカじゃないか」まで言われたそうだが、今となっては当たり前の保管方法に。現代のスタンダードは長谷川氏が作ってきたといっても過言ではない。
そうして流通の常識を変えていく一方で、個性的な酒造りを行う蔵もたくさん登場してきている。「いまは産地や材料へ注目するより、どんな人がどんな味を目指して、どんなお酒を作るのか、それが最も大事になっている気がしますね」。昔ながらの製法に立ち戻り酒を造る蔵、培養しない自然な酵母で造る蔵、杜氏をたてずに酒造りを行う蔵などなど、その酒蔵が伝えたい思いをお酒に込め発信する。そうしてできた日本酒は、蔵からの「メッセージ」に違いない。そう考えると、日本酒を飲むことがなんだかワクワクしてこないだろうか。せっかく日本に生まれたならば、日本の土地で醸される伝統のお酒を楽しみたいではないか。

長谷川氏が最も大事にするフレッシュ感を味わうために


長谷川氏が最も大事にする
フレッシュ感を味わうために

冷蔵のエピソードは、日本酒とは「生鮮食品」なのだという教訓だ。お話をうかがう中で長谷川氏の口から何度も出てきたのが「フレッシュ」という言葉。長谷川氏はそれをとても大切にしている。「絞りたてそのままのお酒が一番うまいと思っています。生酒の場合その味をどう保たせるかが勝負で、冷蔵したり早めに飲んだりする。またはそのフレッシュ感を閉じ込めるために火入れ(熟成が進まないように酵母の活動を止めること)をしたりするわけです。いつ絞ったか、瓶詰めしたのかということは、選ぶ上で気にしてほしいポイントですね」(同)。

日本酒はいったいどうやって選んだらいい?


甘みがあるもの、発泡があるもの、香りが高いものなど、その種類は様々。いったいどうやって選んだらいい? という問いには「まずは酒屋の親父に聞いてみて、すすめられた銘柄から飲んでみるといいのではないでしょうか。そうしているうちに好きな味がわかってくると思いますよ」(同)。 藤巻百貨店で扱う日本酒は、好みの違いはあるにせよ、間違いなくおいしいと思ってもらえるものや人気の高い銘柄をチョイス。「どれどれどんなものだろう」と気軽な気持ちでぜひ飲んでもらえるとうれしい。

グラスで変わる味わいの楽しさ。食中酒でさらなる広がりを見せる

グラスで変わる味わいの楽しさ
食中酒でさらなる広がりを見せる

日本酒を味わうにはぜひグラスにもこだわってほしい。まずおすすめは、藤巻百貨店で幅広くラインナップしている江戸切子・薩摩切子はいかがだろう。日本が世界に誇る伝統工芸であり、作家性が如実に現れるこれらは、飾っておくだけでなく酒器として使うことで真価を発揮する。流麗なカット、または万華鏡のような華やかなデザインを眺めながら酒を飲むのは実に上質な時間の過ごし方で、余裕のある大人にだけ許された贅沢。そんなライフスタイルの充実のために、お気に入りの酒器とうまい酒を揃えてみてはいかがだろうか。ぐい飲みでちびちびと飲むか、オールドグラスでたっぷりと飲むか、好みのスタイルでどうぞ。

日本酒グラスの新定番、ワイングラス。食中酒として楽しむ


もうひとつは長谷川氏も自宅飲みで使うというワイングラス。ご存知の方も多いと思うが、香りが感じ取りやすく、飲食店でも取り入れているところが多い日本酒グラスの新定番だ。香りが特徴の日本酒にはぜひお試しあれ。
そしてどちらのタイプでも、ぜひ食事と合わせていただきたい。日本酒はそれだけでもおいしいが、食べ物と一緒に飲むことでぐっと楽しみが広がるもの。刺身や寿司といった和のものから、イタリアン、フレンチ、フルーツまで、ワインのような「食中酒」として、食事とお酒両方の味わいを堪能して欲しい。
楽しみ方は人それぞれ。「自分はこれがいいんだよね」というスタイルを、藤巻百貨店のグラスと日本酒で見つけてみてはどうだろう。

SAKE COMPETITION 2019 受賞作
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