表には富士山が、その裏には月が描かれる香川漆器「月影」。ボディのネイビーは夜の景色を表している。夜の暗がりにぼうっと照らされる様を見事に映し出した。

伝統工芸「香川漆器」は5つの特徴的な技法によって作られる。その中の「象谷塗」をアレンジし、全面にツヤとマットの表情を作り出すオリジナルの技術が、今回の別注品に込められている。

製作した松本光太さんは人間国宝の磯井正美氏に師事した漆芸作家。さぬきうるし Sinraでは日常に寄り添った漆器の在り方を追求して、本物でありながらも使いやすい漆器を生み出している。

富士山と月のツヤ部分は、錫粉をまぶして生まれたもの。粉筒を指で叩いて落ちる量を調整しながら錫粉をかけることで、繊細なグラデーションの照りが完成する。

「讃岐かがり手まり」は香川県指定の伝統工芸。今回、この技術を使った小さな惑星のシリーズとして、天体のいわれと共に手作りの楽しさを味わえる製作キットを別注した。

糸をかがっていく「没頭する時間」をお届け。途中まで作っている製作キットを、手順書や動画を参照して完成させていく。手芸初心者でも製作できるから安心。

讃岐かがり手まり保存会は糸の草木染めも保存会自らが手がける。大きな鍋で天然染料を煮出し、その中で糸綛（いとかせ）を繰（く）って染色。微妙な色合いを見極めながら狙った色を作り出していく。

糸の色数は120種類以上をストック。微妙な色糸の違いで展開し、讃岐かがり手まりの表情に奥行きのあるグラデーションを作り出す。木綿糸ならではの素朴さも魅力だ。

冬のファッションに欠かせないアイテムが手袋。日本製の手袋の9割が香川県の東かがわ市で作られており、アパレル産業にとってかけがえのない地域だ。

平田商店はその中でもドレスの革手袋を得意としている。「丸もん」と呼ぶ一枚革仕立ての手袋は高度な縫製技術が求められるが、平田商店はその正確な技でいくつものブランドのOEMを請け負っている。

二代目の平田哲也さんは革の性質を見極めた型抜きから精密な縫製まですべての工程を熟知する。独自開発の技法「フィンガークロッチ製法」により、高級感と使い心地に優れた手袋が自慢だ。

一家4人の工房で、オートクチュールに近いものづくりを高い精度で行っている。ミニマムな体制で高品質なファッションアイテムを生み出す様は、まるでイタリアのサルトリアのよう。

“肥松”とは樹齢300年以上の松の木の中心部を、30年以上寝かせてから作る木工品。その質感は松の脂の効果で木製とは思えないほどしっとりとしている。

肥松の大きな魅力のひとつが、経年変化。元は薄いキャメルカラーだが、使っては磨くことを繰り返すうちにどんどん色が濃くなり、深みが増していく。親子三代使ってようやく完成するのだという。

クラフト・アリオカでは肥松木工品を香川伝統のろくろで製作。ベルトを手で操って回転を制御し、木の塊をかんなでくり抜いていく。肥松は脂が多いためかんなを何度も研いで切れ味を保つ。

樹齢を重ねた松の木は新たに伐採しにくく、環境の変化で枯れ始めてもいる。クラフト・アリオカがストックしている材料がなくなれば今後は肥松が作れないかもしれない。それほど貴重なものなのだ。

香川県指定の伝統工芸「高松張子」の作り手、張子工房ウスイに藤巻百貨店が別注。完成したのは、4匹の招き猫！ 日本の猫をモチーフにした、三毛、白、黒、トラで、絶妙にカワイイ表情とたたずまいがたまらない。

起き上がり小法師の4匹は伝統工芸士の臼井融さんがデザイン画を起こして製作。張子はもともと子どもの玩具だったため、臼井さんの作る張子は子どもが愛着を持てる顔立ちをしている。

高松張子は型に和紙を貼り付けていき、乾燥させてから和紙をカットし、型を取り出す。その後は胡粉とニカワを混ぜた液に浸し、白く着色させて絵付けの準備が完了。

臼井さんが起こしたデザイン画をもとに張子に絵付けを行っていく。4匹の猫の柔和な表情や仕草がかわいらしく、商売繁盛の願掛けに、または猫アイテムコレクターへのプレゼントへもおすすめ。

「桶」の技術を使って木製弁当箱が大ヒットアイテムとなっている谷川木工芸。新たに開発したのは、レンジが使えて温められる弁当箱。木製弁当箱に革新をもたらした！

少しサイズの大きいおひつは、ご飯を移したり、こちらもレンジが使えるので温めて食べたり、ちらし寿司を盛り付けたりと、さまざまな使い方ができる。釜揚げうどんの桶にもおすすめ。

桶特有のたがを外し、特殊な接着剤を使うことでレンジ加熱を可能にした。ご飯の温めは600Wで2分が目安。自宅でも職場でも、あったかご飯＆お弁当が食べられるのがうれしい。

これらを作ったのは、谷川木工芸三代目の谷川清さん。日本中の桶屋が廃業していく中、桶にできることや桶にしかできないことを見定めて革新的なアイテムを作り出している。

ストッキング製造技術を応用したメンズインナーを新たに開発。着心地のよさ、動きやすさ、吸湿発熱素材による暖かさで、シャツ下を快適にする。シャツのボタンを開けてもインナーが見えない工夫も。

平置き状態では小さく見えるが、着ると抜群の伸縮性で体にピタッと添う。メッシュ素材の柔らかな肌あたりで、まるで何も着ていないかのような感覚がある。

ラモナーはもともとストッキング製造メーカーで、現在も大手下着メーカーのストッキングのOEMを請け負う。機能系や柄物など、高付加価値のストッキングに定評がある。その技術を今回のインナーに生かした。

ストッキングと違ってインナーは縫製が必要。これも社内のスタッフが手作業で行い、ロックミシンの縫い代を三本針ミシンでたたいて、ごろつきを感じないように工夫している。

うちわは実は、夏以外にもおすすめ。縁起柄が描かれたうちわを自宅でディスプレイ、いわれをゲン担ぎにしてお守りのように使える。うちわのデザイン面を最大限に楽しむ提案だ。

香川県の丸亀は日本の9割のうちわを作っている地域で、この地に伝わる「丸亀うちわ」は、国の伝統的工芸品に指定されている。竹を使って職人の手で作る工程は47にもおよび、そのすべてが手作業で行われる。

柄と穂（うちわの骨部分）のもとになる竹を削る「ふしはだけ」、特殊な切込機で穂を作っていく「割き」「もみ」、穂をつなぎ合わせる「編み」など、細かな工程を無駄なく素早く進めていく。

中国製の竹骨に丸亀の国内工場で金銀の扇面を貼って仕上げ、新しい技術とアイデアを取り入れた現代の丸亀うちわも展開。縁起がよくめでたいデザインは正月飾りにもおすすめ。