歴史のはじまりを鮮やかに彩る“紅”のクリスタルガラス
激動の歴史を経てなお愛らしく煌めく「薩摩切子」の復元猪口
■豪華寝台列車でも使われる鹿児島を代表する伝統的工芸品
切子を通して乱反射する光と影が織りなす陰影。天にかざせば真っ赤なルビーのように光がにじむ紅のクリスタルガラス。小さな猪口の中に広がる色彩美を肴に、酒を愉しむという贅沢を存分に堪能できるのが「島津薩摩切子」の復元 猪口だ。かの篤姫の養父だった島津家28代当主・斉彬の命により発展した薩摩切子。独特の色のグラデーション「ぼかし」や日本初の紅色ガラスなどが珍重され、篤姫の嫁入りの品になったことでも知られる。ところが薩英戦争による工場の消失や斉彬の死によりわずか20年でその歴史は終焉。一時は幻となっていたが、島津藩の末裔である島津興業が「島津薩摩切子」として見事に復元し、今や鹿児島県を代表する工芸品の一つに。九州を走る豪華寝台列車や大河ドラマのオープニングでも使われ、その知名度は全国区だ。
■島津家の末裔として想いを受け継ぎ進化させていく
一口に復元といってもその道のりは険しく苦難の連続。というのも斉彬が在位したのはわずか8年で、薩摩切子が作られていたのはその後も含めて20年余りと歴史が短い。さらに残された資料も少なかったため全てがゼロからのスタートだった。職人の手技を図録や文献のみで再現するのは不可能に近く、資料を元に角度や深さを変えて試作が繰り返されたという。色に関しても斉彬が作らせた色ガラスを復元しながら、現代の私たちが美しいと感じる色を実現するのに苦心したそう。「薩摩切子は日常に取り入れやすいガラス工芸品である一方、部屋に飾るだけで空間に華やかさをプラスするインテリアジュエリーでもあります。見るたび、使うたびに心が豊かになる薩摩切子を追求することは島津の名を受け継ぐ私たちの使命です」(島津興業 有馬氏)。
■江戸時代の人々を感嘆させた日本で初めての「紅」色
「復元 猪口」はその名のとおり江戸時代に斉彬が作らせた猪口の復元品。最高級のクリスタルガラスに、六角籠目と十六菊紋という薩摩切子を代表する伝統的な柄を配している。ぽってりと見えて実は口元の内側に角度をつけることで飲み口を良くしているのはデザインの妙。深みがありどこかオリエンタルな雰囲気を醸す色ガラスが「ぼかし」と呼ばれる薩摩切子独自のグラデーションをいっそう美しく引き立てる。紅は斉彬の時代に日本で初めて発色に成功したとされる色。色数豊富な本シリーズの中において、復元という観点で見ると最もふさわしいのは「紅」かもしれない。同じく江戸時代から愛される定番の「藍」、「緑」や、島津興業のオリジナルカラー「金赤」、「島津紫」、「黄」と徐々に色を揃えていくのも一興。幕末の人々が感じたであろう感動をなぞり、その歴史に思いを馳せながら酒杯を傾けたい。
ディティール
アイテム詳細
素材:クリスタルガラス
原産国:日本
本体サイズ:胴径6.2cm、高さ5.2cm
箱サイズ:横9cm×高さ9cm×奥行き9cm ※木箱入り
満水容量:約105cc
使用上の注意
※食器用洗剤を溶かした、ぬるま湯に浸し、スポンジか柔らかい布で丁寧に洗います。カット面は時々柔らかいブラシで洗ってください。
※ぬるま湯で充分にすすいで乾いた布の上に伏せて水を切り、乾ききらないうちに大きめの布で良く水気を拭き取ってください。
※布でくるむようにして、指や手のひらが直接触れないように磨いてください。
※収納に際しては皿や鉢は紙か布を間にはさみ、ガラスどうしが直接あたらないように注意してください。傷や破損の原因になることがあります。
※クリスタルガラスは耐熱性強化ガラスではありません。
急冷急熱には大変弱いため、常温または冷却した器に熱湯を注ぐことのないようご注意下さい。
また、氷水を突然注ぐなどは避けて、水を注いでから氷を入れるようにご注意下さい。