200余年の伝統技「讃岐のり染」で作るポケットチーフ。ファニーなハートがさりげない「大人かわいい」を演出する!
■香川の獅子舞は、「ゆたん」の染めに特徴あり!
獅子舞というと、赤い頭や紋様の入った布地を持ち、頭を噛んで…。そんなイメージが浮かぶが、実はこれは獅子舞の中のごく一部にすぎず、日本全国でその土地だけの獅子舞の姿や舞が存在する。特に香川県は全国有数の「獅子舞王国」で、ゆたん(油単)と呼ばれる胴部分の布に大きな特徴がある。見てのとおりとてつもなくカラフル! このゆたんを手がけているのが、香川県の伝統的工芸品に指定されている「讃岐のり染」の継承者、大川原染色本舗。幟や暖簾など昔ながらの染め物のほか、現代の日用品にもその技を生かし、魅力的なアイテムを作り出している染色工房だ。
■ハートが大人かわいい! 伝統工芸「讃岐のり染」のポケットチーフを別注
「讃岐のり染」は、もち米で作られた糊を生地に置いて防染し、他の部分を染めていく手法。江戸時代後期の高松では多くの染物屋が軒を連ねていたが、戦争の影響や後継者不足によって今では香川でたった2軒を残すのみ。そんな貴重な技法が残る大川原染色本舗とともに、獅子舞のゆたんと同じシルク生地を使った「ポケットチーフ」を開発! 胸元が決まりやすいシックなカラー、お茶目さを演出するハートマーク、よく見ると渋い模様の着物生地「綸子(りんず)」の表情など、すぐに使いたくなる魅力に溢れている! 伝統工芸をなんら違和感なく日常に取り入れられる快作だ。
■創業200余年の技を今に伝える、7代目の伝統工芸士
大川原染色本舗の創業は、なんと江戸時代後期の1804年(文化元年)までさかのぼる。現代の担い手は7代目の大川原誠人さんで、この道35年。香川県の伝統工芸士に指定されているベテランだ。複雑な要望にも確実に応える職人としての姿の一方、芸大出身で染色作家の顔もあり、自身の作品を発表している。職人と芸術家の二つの視点を持つからこそ見える景色が、大川原染色本舗の仕事に息吹いている。
■圧倒的な色使いと強いモチーフ。これぞ香川のゆたんだ
仕事場に入ると、壁にドーンと張られた巨大な絹の染め生地に圧倒! 那須与一や源義経などのエピソードを持つ人物や、虎や龍などの強いもの、獅子が休む牡丹など、躍動感豊かなモチーフとパキッとした派手な色使いが強いインパクトを残す。「調和する色じゃなくて、ケンカするような色を使うのは、そのほうがお祭りに映えるから。これもまた獅子舞の伝統です」と大川原さん。
讃岐のり染は手で糊を絞り出しながら描く「筒描き」という手法で防染するのだが、そのスピードの速いこと! この後、刷毛を使う「引き染め」でそれぞれの色に染め上げていく。手描きによる揺らぎが染めに反映され、暖かみのある表情が生まれるそう。
■獅子舞、讃岐のり染、シルク。導き出した答えは“ポケットチーフ”!
「派手な色の他に、もうひとつ特徴があります。他の地域では綿素材がほとんどだと思いますが、香川のゆたんは伝統的に絹(シルク)を使うのです」(大川原さん)。強く縁起のいいモチーフが高価な絹に描かれていて、これも香川ならでは。「シルク、そして染色……!」。これらのキーワードによって導かれたのが、メンズアイテムのポケットチーフを作るアイデア。讃岐のり染と香川の獅子舞のDNAを宿したスペシャルアイテムがひらめいた!
■型紙の宝庫から発掘! 現代的モチーフを大川原さんは見抜いた
「古い型紙の中にV字のような柄を見つけ、ふと『これ、ハートマークに見えないか?』と思ったんです。さりげないハートは、大人が持つのにぴったりじゃないかと」。(大川原さん)。これぞ芸術家の発想力。そこからブラッシュアップした型紙は、人の手で作るためこちらもまた微妙な線の揺らぎがあり、絶妙に大人かわいい形に進化。シルク生地にこの型を置いて、ハート部分を糊で防染し、それ以外の部分を刷毛の引き染めでネイビーとボルドーに染めた。裏までしっかり色が入っているのは染め物ならでは。プリントではこうはいかない。
■吹雪とハートの絶妙な調和で大人っぽいチーフに
シルク素材も選び抜かれている。大川原染色本舗のゆたんに頻繁に使われる絹の着物生地「綸子(りんず)」で、主に振袖や訪問着などに使われる素材だ。雪を散らしたような模様はその名も「吹雪」。今回はさまざまなシルク生地の中から、ハートや地の色と最も相性を発揮するタイプを探してもらい、たどり着いたのが、ゆたんでも絵を引き立てる模様として活躍する吹雪だった。ところどころに入る吹雪模様とハートマークが響き合い、モダンな着物のような独特の風合いを醸し出している。
■シックなカラーでビジネスに使いやすい。チャーミングな印象への一助にも!
揺らぐハートは大人のさりげないかわいらしさを演出し、その奥に潜む綸子は光や角度によって印象を変化させる。そしてこれらの豊かな表情を支えているのが染色だ。両面染まっているから表裏を気にせず使えて、ラフに胸ポケットに入れても様になるから、ポケットチーフ初心者にもおすすめしたい。ネイビーは明るい系のジャケットやグレーのスーツに、ボルドーはネイビーやブラウンなどのダークカラーと相性がいいものの、どちらも汎用性が高い色なので使い方は自由自在。
今やポケットチーフはビジネスアイテムの定番となり、着物地タイプも珍しくはない。しかし、これほどミニマルなデザインで素材の良さとチャーミングさを瞬時に伝えられるものは非常に稀と言えよう。ぜひこの伝統の技をビジネスシーンに使って、自身の印象を深める助けにしていただきたい。ジャケット愛好者への冬のプレゼントにもおすすめだ。
カラーバリエーション
ご注意
使用イメージ
アイテム詳細
素材:絹
サイズ:約370×370mm
製造国;日本
※この商品は「讃岐のり染」の技法で手染めしたもので、使用により擦れが起こる場合があります。洗濯の際は、多少色落ちすることがありますので他のものとは分けて洗い、漂白剤は使用しないで下さい。タンブラー乾燥は縮む原因となりますので絶対にしないでください。
※個体によって、生地の裏面の柄のぼやけや、端のほつれが生じる場合があります。あらかじめご了承ください。