桜の儚さを思い愛でる
オン・ザ・ロックの時間
■江戸の粋で風流な文化が生んだ、伝統の花切子
江戸切子は、江戸時代に生まれ、大正から昭和初期にかけて発展。その後、戦争で一時は製造が下火となったが、再び東京の下町エリアで復活をとげた。山田硝子も、職人の街・墨田区で三代に渡り江戸切子を作り続けている。二代目の山田輝雄氏は、「日本のガラス展」の大賞のほか、数々の賞を受賞した名工。ギャラリーで個展を開くなど、もはやその作品は芸術品の域に達する。その息子で、三代目として工房を切り盛りする真照氏が得意とするのが、動植物の姿を彫る花切子。粋と風流を心情としていた江戸っ子たちは、身の回りのものに、四季折々の動植物の図柄と取り入れ、花鳥風月を楽しんだという。特に優美で繊細な桜の柄は、今や春だけでなく、一年を通して愛されている人気の図柄だ。
■熟練の技術が生み出した、儚い桜舞い散るオールドグラス
花切子は、四季折々の草花をガラスの中に描いていくが、桜ほど全面に散らして映える柄はないだろう。グラスの側面にまんべんなく桜が配されているのに、くどくならず、むしろ華やかで優美な輝きを放つ。また山田氏が彫る桜は、ガラスという硬い素材に彫られたとは思えないような柔らかさが感じられる。これには山田氏がこだわる、ある技術によるものだ。その技術とは桜の花びらの縁の部分を、中心に比べて浅く彫る手法で、そのために一枚の花びらの中に微妙な陰影が生まれる。これにより、桜の花独特の繊細で儚い質感が再現できるのだ。グラスを刃から離すときの微妙な角度と、絶妙な力加減などが織りなす、まさに熟練の職人技といえる。
■グラスの中に映し出された桜を愛でて、ひとり大人の花見を
桜は今や一年を通して楽しまれる図柄で、外国人観光客にも人気となっている。しかし、やはり、桜の舞い散る春にこそふさわしい。桜オールドに大ぶりの氷を入れて、焼酎をオン・ザ・ロックでくゆらせてみたい。忙しくて花見に行けなかった人も、このグラスをのぞき込めば、咲き誇る満開の桜を堪能できる。仲間とわいわい花見もいいが、たまにはひとり、とっておきのグラスを傾けて、季節のうつろいを楽しむのも悪くない。まさに大人の至福の時間を演出してくれる、心憎いグラス。桜の季節は短いからこそ、この季節を楽しむためだけのアイテムを手に入れるのも大人の愉しみだろう。
このアイテムのレビュー
みんなのおすすめ度
- ★
- ★
- ★
- ★
- ★
(星 5.00)
0人の方が「参考になった」と言っています
0人の方が「参考になった」と言っています
0人の方が「参考になった」と言っています
0人の方が「参考になった」と言っています