職人歴50年超、江戸切子のレジェンドが放つ革新! 「平切子」の使い手がカットも駆使し、独特な世界に誘惑する
【初回各3点限定】
江戸切子のラスボスがついに降臨! 独特な表現で見る者を引き込む
そこに映るは、アブストラクトな描画か、あるいは篝火に照らされた仕舞なのか。夢とも現実とも判然しない幻想的な光景を小さなガラスに閉じ込めた、江戸切子表現の極北とも言うべき逸品が登場。これは、50年を越える長きにわたる切子職人人生を歩んだ江戸切子界の最重鎮、林克美氏が手がけたぐいのみ。継承者が10人もいないと言われる「平切子」の技術をミックスさせ、誰も辿り着けない領域まで踏み込んだ名人芸をその目で味わいたい!
お知らせ
5月22日に「初回各3点限定」として発売した本商品ですが、大変なご好評をいただき予定数量が初日で即完売となりました。ありがとうございました。
現時点では次回生産の予定は未定ですが、引き続き職人と調整を行ってまいります。ご希望の方には、「入荷メール」ボタンからメールアドレスをご登録いただきますと、販売再開時にいち早くお知らせが届きますので、ぜひご利用ください。(入荷が叶わない場合もございますことを、あらかじめご了承のほどお願いいたします。)
江戸切子の歴史にこの人あり。リビング・レジェンドの技を見よ
林氏は1950年生まれ、70歳を超えても現役の職人を貫く。
この道に入ったのは、父の正雄氏が興した林ガラス加工所で18歳から修行を始めたことがきっかけ。2代目として技術を磨いた林氏は、89年の第一回江戸切子新作展入賞を皮切りに、次々とタイトルの受賞を重ねた。91年には東京都の伝統工芸士に、2005年には経産省指定の伝統工芸士に認定され、近年は江戸切子協同組合の理事長や日本伝統工芸士会の副会長などを歴任。江戸切子の技術の継承はもちろん、地位向上に取り組んできた人物だ。
その功績が国にも認められ、2020年の秋には瑞宝単光章を受勲する栄誉を授けられた。現代の江戸切子のイメージや受け止められ方は、林氏らの努力によって築かれたものなのだ。
林氏の特徴は、平切子の技術を持っていることにある。平切子はガラスに平らな面を作る江戸切子の一種なのだが、いわゆる江戸切子職人が駆使する菱・角山・蒲鉾などの線的なカットとは性質が異なる「面」的な研磨技法で、これだけを専門に扱う「平屋」もいる。グラスなどを平面研磨するには熟練の腕が必要であり、林さんは長い間これ一本でやってきた。
転機となったのは50代の頃。自分も父のように切子全般を習得しようと、他のカット技術をイチから学んだ。しかも組合の副理事長の任を得ていた時分に、カルチャースクールに通ったというから、その学ぶ姿勢には頭が下がる。こうして4つのカットを自在に操る林氏ならではのスタイルが完成。他の職人よりも使える技術がひとつ多いので、当然表現の幅も多彩になる。これが「有機的」「魔術的」とも称される独特なデザインを可能にした。
これぞ「いぶし銀」の江戸切子! 平面研磨×カットの一人コラボレーション
林氏はカガミクリスタル製のハイクオリティなクリスタルガラスを扱える数少ない職人の一人でもある。今回の色被せは、瑠璃とスモッグ。クリスタルのきらめきがシンプルに伝わってくるカラーであり、口元を削らず色を残すことで瀟洒なイメージを切子に宿す。
色被せを引き立てるように、側面も少ないカットで魅せる。底部から斜めに立ち上がる曲線のカットは抑制的。むしろ、その背後の大きくボワっとした部分と組み合わさり、曲線に対する影絵のように浮かび上がってくるのが印象的だ。こここそが、平切子の磨きの見どころ。アールに曲げながら削り出すのは非常に気を遣うのだとか。「平とカットをどう組み合わせたら面白くなるかをよく考えます。結果、カットを少なくした方が平屋らしい『面の表現』になるんじゃないかと」(林氏)。線と面の融合で形状とデザインを決定させる、林氏らしい作品だ。
下部に行くほどきらめきの複雑さが増し、底は小さな桜の花びらのカット。覗き込むと渦巻きのような視覚的面白さが立ち現れる。所有者だけの愉悦ポイントだ。
面の部分のグリップ感がよく、持ちやすいのも特徴。江戸切子桜祭り2024の会場でも外国の方が手なじみのよさでこれを選んでいた。しっくりと手になじむ心地よさに惹かれるのは万国共通だ。「平は大変なのに地味だから、注目されないしやる人も少ない。その技術的な側面にも注目してほしいですね」。平切子の魅力を、いまこそ知っていただきたい。
独特の切子表現を目で味わう。上等な酒席のおともに。
江戸切子はその美麗なカット表現が魅力のひとつ。が、あえてカットを減らすことで色や質感を際立たせた切子もまた味わい深い。林氏は平切子の技法をミックスし、カットしない江戸切子の表現の幅をさらに広げた。このぐいのみは、まさにそうした「引き算の美学」の極致に到達したいぶし銀の江戸切子である。テーブルの料理や器の気配をかき消すことなく調和するものの、ポッと小さな花が咲くように控えめに江戸切子らしい華やかさを主張しているのがかわいい。この儚い存在感、日本酒用に所有したくなる。
プロフィール
林克美
1950年 東京都出身
1968年 父、正雄に師事
1989年 江戸切子新作展 優秀賞 受賞(以後多数入選)
1991年 東京都知事より伝統工芸士に認定
2005年 経済産業大臣指定伝統的工芸品 伝統工芸士に認定
2006年 江戸切子工芸士会 会長就任
2007年 東京カットグラス工業組合(現江戸切子協同組合)初代理事長就任
2014年 日本伝統工芸士会 常任幹事就任
2016年 日本伝統工芸士会 副会長就任
2020年 秋の叙勲で瑞宝単光章を受章
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