シャープさと、たおやかさが共存!美大出身・江戸切子の新星が生み出した現代的なセンスが光る傑作
■凛とした鋭さと華やかさを併せ持つ一客
「芯から美しい人は華になる」そんなテーマを持つ、たおやかにして大胆かつモダンなグラスが誕生した。芯を感じさせる力強いカットと、細かく緻密なカットを織り交ぜ、凛然としたオーラを放つその作品は、若き江戸切子職人、松井文孝氏の手によるものだ。
■「進化」「真価」を示唆する縦のライン
タイトルは「芯華 shinka」。“芯華”という2文字の裏には、同音意義の進化(進化する美しさ)、真価(真の美しさ)といった意味も込められているそうだ。デザインの一番のポイントは、芯を感じさせる強さのあるカット。天に向かって伸びるような縦のラインも印象的だ。
■咲き誇る華の裏側にはシャープなカットが
デザインするうえで松井氏が意識したのは、幅の広い大胆なカットが生み出す調和と、菊繋ぎが描く線的なカットによる対比の美しさだ。一つ一つの模様が引き立つ菊繋ぎと、繊細なカットを組み合わせることで細やかな心遣いを表現。太いカットから細いカットへと変化する抑揚のついた真っすぐなラインは、凛々しさとしなやかさを示している。
グラスの底は、芯からの美しさが華開くイメージ。芯から外に向かい華やかに解き放たれるオーラを表したという。
側面の大きな菱模様はカットを上下から被せることで、本来は丸みを帯びるカットの膨らみにエッジを効かせ、スッキリとしたデザインに。上部では、菊繋ぎと交互に色を抜く面のカットを施して菊繋ぎをほどよく引き立たせた。
■計算し尽くし、なめらかな手触りを実現
ガラス生地は深川硝子工芸製。クリアグラスではなく琥珀のグラスを用いている。そうすることで、色のコントラストを調和させ、凛としたイメージの中に優しく深みのある風合いを持たせた。被せている生地は瑠璃と金紫。手触りも秀逸だ。平らな部分や丸い山のカットを計算し尽くし、ずっと触っていたくなるような、なめらかな手触りを実現している。
■オリジナルグラスを作り出す江戸切子の新星・松井文孝
多摩美術大学のグラフィックデザイン学科を卒業した後、写真の世界に身を置くなど、幅広い芸術表現に触れてきた松井氏。自身の個性を最大限に発揮できる表現を探す中で江戸切子と出会い、根本硝子工芸の門をたたいた。名匠である師から学んだ伝統の技、芸術への並々ならぬ情熱、そして持って生まれたセンスにより、唯一無二の切子表現を追求している。
2022年に入門し、同年、早くも第5回北近江サケグラス公募展にて入選。2023年春には藤巻百貨店主催の「江戸切子桜祭り」に先駆けた「第3回テーブルウェア作品展」で、初出場にしてブロンズ賞を受賞した。亡き母への想いと祈りを込めて創り上げたその作品「祈想」もまた、大胆さと繊細さの抑揚を意識した美しい作品である。
■師匠も太鼓判!江戸切子職人としてのセンスと技
松井氏が最初に根本硝子工芸への入門を志したのは2021年。当時、江戸切子に関心を持ち、教室に通いつめるうちに江戸切子が自分の天職だと確信した氏は、工房探しを開始する。その中で三代目の根本幸昇氏が掲げている「工芸から藝術へ」といった思想に惹かれ、根本硝子工芸の門をたたいた。
伝統工芸士である二代目の達也氏は最初は弟子入りを断ったものの、数ヶ月後に再度現れた松井氏の作品を目にし、才能を見出して育てる決意をした。現在は切子製作に熱心に取り組む松井氏について「なかなかいいものを作る」「1年ちょっとでここまでできるようになってびっくりしている」と太鼓判を押す。
■瑠璃琥珀、金紫琥珀…斬新な色の組み合わせ
グラスは「瑠璃琥珀」「金紫琥珀」の2色展開。2色のみの切子作品としては、あまり見ない斬新な組み合わせである。凛としたイメージの瑠璃、高貴な印象の金紫、いずれも琥珀とは補色関係にあるので、それぞれの色が引き立ってなんとも優美だ。
お酒を注ぐと、また違った表情に。お気に入りの焼酎やウイスキーを味わう特別な時間を満喫してほしい。ベースとして大きなカットを隙間なく組み合わせているので、手に持ったときに他の切子にはない質感を楽しめるのも魅力の一つと言える。
■日常を彩るアート作品としても堪能して
シャープな意匠を得意とする松井氏は、以前の作品では口元までカットを入れていたが、達也氏のアドバイスにより、今回は口が当たる部分にはカットを入れないデザインを考案した。そのため、飲み口はなめらか。お酒を嗜むのはもちろんだが、食卓を彩るアート作品として繊細な造形を愛でるのもいいかもしれない。
江戸切子職人の新星・松井氏が手がけたグラスはプレゼントにもぴったり。お酒を愉しむ時間を大切にしているカップルや夫婦に、2色セットで贈るのもおすすめだ。
カラーバリエーション
ディテール
使用イメージ
アイテム詳細
素材:クリスタルガラス
サイズ:H90mm×Φ83mm
重量:グラス 約300g、桐箱 約200g
製造国:日本
注意事項
・ガラスは破損しやすいので、お取り扱いには十分ご注意ください。
・急激な温度差や衝撃を伴うご使用はお控えください。
・汚れはタワシや歯ブラシなど、ガラスより柔らかい素材で手洗いすることをおすすめします。
・電子レンジ、食器洗浄機、食器乾燥機、オーブン、直火のご使用はできません。