大胆と繊細のダイナミズム。薄墨に祈りと想いを込めて
①カットの強弱と独特の「黒」が織りなす美
時に深く大胆に、また時に細かく繊細に。そうしたカットガラスの技を駆使して完成させた薄墨色のクリスタルには、ステンドグラスのような荘厳な気配が漂っている。江戸切子職人、松井文孝氏が作り上げた「祈想」である。
②カッティングのバランスに心血を注ぐ
そして口縁付近には細かい菊繋ぎの紋様でびっしりと覆い、ガラスのきらめきが堪能できる。下から上がっていくごとに黒色が薄くなっていくグラデーションも美しい。
使って初めてわかる底面の工夫
底部分はヒダのようなカットで、見込みからのぞくと万華鏡のような対称の輝きが広がっているのも見ものだ。
松井文孝氏の作品の魅力とは?
多摩美術大学のグラフィックデザイン学科を卒業し、美術教育を受けている松井氏。そんな彼が、自身の芸術表現を突き詰めた結果たどり着いたのが江戸切子だった。その後、根本硝子工芸に入門。江戸切子の名門で薫陶を受けた技、厳しい芸術作品への目、その二つでオリジナルの切子表現を磨いている。
③師匠譲りの技を駆使する江戸切子の新星
2022年には第5回北近江サケグラス公募展で入選を果たし、徐々に頭角を表しつつある。今回の作品は、大胆さと繊細さの抑揚を意識し、最善のバランスを目指した意欲作。師である根本幸昇氏に何度も却下された末に出展した松井氏の現在の到達点だ。亡きお母様への想いと、それが届くよう祈りを込めて「祈想」と名付けられた。まさに全身全霊の作品と言えよう。
④光の調和が美しい黒。酒時間がさらに味わい深く。
奥深い黒が特徴なこのグラスは、持ってみると程よく手になじみ、光を透かせばカットの隙間から抜群のきらめきを放つ。やや暗い照明の下、グラスに氷を入れて焼酎やウィスキーを注げば、そこに極上の一人酒時間が訪れるだろう。
松井文孝 プロフィール
根本硝子工芸所属 切子職人
2018年 多摩美術大学 美術学部 グラフィックデザイン学科 卒業
2022年 根本硝子工芸 入門
同年 第5回 北近江サケグラス公募展(黒壁慶雲館) 入選
アイテム詳細
素材:クリスタル硝子
サイズ(最大直径×高さ):Φ83×100mm
このアイテムのレビュー
みんなのおすすめ度
- ★
- ★
- ★
- ★
- ★
(星 5.00)
0人の方が「参考になった」と言っています