香川漆器でも珍しい、木を知り尽くす漆職人の技。漆のトレーは、高級感、佇まい、使い勝手、すべてが最高!
■「作家性の強い職人」として香川漆器と向き合う工房
香川の漆は、知れば知るほど奥が深い。香川漆芸はこれまでに6人の人間国宝を輩出し、現代的な漆の美を体現した芸術性に富む作品を作り出す作家たちの一方で、日常的に使う漆器を作る職人たちもまた、それぞれの個性を生かしたユニークな製品を生み出している。後者にあたる中田漆木は、木そのものと対話するように漆器と向き合う特異な工房だ。木を知り尽くしたからこそできるアイテムは、私たちの生活をちょっとだけ豊かにする小さな幸せに満ちている。
■佇むだけで食卓の雰囲気を変える。目利きはこれを見逃さない。
今回の漆のトレーはまさにそんなアイテム。木のトレーならどれでも一緒でしょ? というのは大間違い。ヒノキの木目を生かした漆の仕上げが生む落ち着いた高級感がありながら、板上に乗る食器や料理を引き立てる名脇役の姿も見える。家具を作っていたからこそ作れる形状も、使いやすさを考え抜いた結果だ。主張しすぎず、ただそこにある良質なものの佇まいは、目利きからの評価がすこぶる高く、近い形のトレーが瀬戸内海をクルーズする豪華客船に採用されたことからもうかがえる。
■作品を作ることで、独自の活路を見出した漆職人
こうした製品を生む基盤となっているのが、代表である中田充さんが歩んできた漆器との葛藤の歴史だ。「先代の父はいわゆる下請けの漆塗り職人で、うつわやお椀といった小さなものから、テーブルなどの大きな家具まで手がけていました。私は父の下で修行しながらも、別の方法で漆で身を立てたくて、仕事の合間に自分の作品を作ってクラフト展に出品していました。その時に考えていたのが『見た目が美しくて使い勝手も備えるにはどうしたらいいか』です」。
「その考えが今の中田漆木を作っています。そして、それを叶えるためには木の性質を知ることもまた大切でした」と続けるのは息子で職人の中田大輔さん。「僕らはいわゆる作家ではないけれども、漆だけをやる職人でもない。自分たちで木地の一部を作ることで、木を見る目を養った職人です。木地作りから漆塗りまで行うところは、ここ香川でも珍しいと思います」。
■木地から作るからこその、このオリジナリティ
漆の塗り場のすぐ隣に、木工用の大きなカッターやサンダーが鎮座する。それは漆工房ではあまり見られない光景で、中田漆木では丸太で木を購入し、カットして数年寝かせ、漆器に活かしている。「我々がやりたい形の漆器を、適正な価格で実現できるのはこのおかげ。木目や板の取り方、曲がる性質など、木の加工から学ぶことはたくさんあります」と大輔さん。木を大切にしているからこそ、ここの屋号は漆器ではなく「漆木」なのだ。漆のトレーも、板材の状態から自らカットした香川産のヒノキ材を使う。
■塗って、磨いて、乾かして…。何度も繰り返して絶品の風合いに
今回は、香川漆器の技術の中でも木目のはっきりと見える「拭き漆」という手法で漆を塗る。拭き漆を施してから、室で乾かし、磨き、それを4回程度繰り返すことでどんどんツヤが出て強度も増していく。最後に仕上げ用の拭き漆をしてようやく完成。季節や気温にもよるがおよそ10日以上をかけて作り上げる手間のかかる工程だ。
完成直後よりも時間をおいた方が透明感が出て強度を増すのが、漆の不思議な性質。漆は空気に触れることで硬化するのと同時に、半透明から透明に変化していくのだ。
■食卓に溶け込む漆の黒と茶。木の質感もナチュラルだ
かくして完成したトレーは、黒漆と無色の漆を拭き上げた黒と茶の二色を展開。色漆も香川漆器の特徴で、こちらの黒は蝋燭由来の天然顔料を混ぜている。茶は色を混ぜない生漆を使うが、漆が硬化することでやや茶色になることから、自然とこのようなカラーになる。どちらも食卓に溶け込む色あいがいい。漆は水や汚れにもめっぽう強いから、安心して食事に使える。
■持ち上げやすさが段違い! 縁ありで安心・安全のカタチ
底面のサイドが少し浮いているような形状が大きな特徴。斜めのテーパーを入れることで指が少し引っかかり、持ち上げる際の安全が考慮されている。厚みをすっきりと見せるデザイン的要素も兼ねた中田漆木の真骨頂だ。縁をつけたのは今回の香川特集をきっかけに開発した新機軸。
「中田漆木は家具も木地から作ることができるので、組み物の技術が備わっています。この縁はそれを応用し、非常に細長いパーツを加工したもの。縁があった方が食器が落ちないから安心ですよね」と充さん。組み物ができる中田漆木ならではの加工と言えよう。 また、香川は雨が少ないことから硬いヒノキがとれ、家具や柱に使われるほどの強度が自慢。そこからさらに漆を塗ったトレーの耐久性は抜群で、長い間愛し続けられるのも魅力だ。木を熟知しているから歪みも少なく、経年で板が曲がってしまう心配も少ない。
■漆のトレーで統一感ある食卓に。この気持ちよさをぜひ体験して
家族の食卓でも、ひとりひとりにランチョンマットを使うのが近年では一般的だ。このトレーも同様に使え、さらにはそのまま持ち上げて運べるから、配膳や食器を下げる際に非常に便利。漆の表情は、陶磁器や木、ガラスなどの異素材の食器と自然となじみながら、高級な雰囲気を醸し出してくれるだろう。水に強いから洗えるのもいい。
お盆として使うのもおすすめで、自分の晩酌セットをこのトレーで運び、江戸切子で一献を傾けてみたい。家族分を揃え、漆の高級感で満たされた食卓を味わってみませんか?
カラーバリエーション
使用イメージ
アイテム詳細
素材:ヒノキ(香川県産材)、漆
サイズ:W40×H2×D30cm
※ご注意
使用後はやわらかいスポンジなどに中性洗剤をつけて洗ってください。水気は早めに拭き取ってください。電子レンジ、オーブン、冷蔵庫、食器洗浄機の使用はお控えください。
※天然の木材を使用していますので、写真と木目・色などが多少違う場合がございますのでご了承ください。
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