香川漆器に、きらめく星と夜空の空気感を閉じ込めた! 庵治石を混ぜた「石粉塗」技法で美しくも強いリムのプレートに!
■香川漆器の「プレート皿」!? 藤巻百貨店限定モデルで発進!
人間国宝を輩出すること6名。輪島、越前などと並び、日本の「漆芸」における重要な拠点になっているのが香川県だ。技巧を極めた漆工作品の一方で、生活に近い漆器を作る職人も多数抱えている。
今回は、香川漆器の本流を学び、日常を彩る漆アイテムを多数発表している「さぬきうるし Sinra(しんら)」の限定プレート皿が登場。ワンプレート料理で、晩酌のシーンで、このめくるめく漆の表現を味わう贅沢を。
■月と富士山に続くは、夜空のマジックアワー
さぬきうるし Sinraは2022年、伝統工芸「香川漆器」の技を駆使し、夜の闇に浮かぶ月と富士山の姿を漆器カップに写しとった。今回のプレートは、その「月影」の続編として生み出された、藤巻百貨店エクスクルーシブのお皿だ。
月と富士山という日本の象徴的なオブジェクトに対して、この皿で描いたのは「明けゆく夜空」の空気感。夜が明ける暁の時間帯はドラマチックに空が変化する。暗がりに徐々に明るさが差しはじめる美しいグラデーション、見えていた夜空の星が消え入りそうな気配…。そんな光景を漆器に閉じ込めた。
月と富士山を見ていたら、いつの間にか夜が明けようとしていた。ストーリーを感じさせるカップとプレートの組み合わせだ。
夕焼けの「月影 赤」に対するは、黄昏どきの空のあわい。燃えるような赤の漆と、星の表現が眩しい。
色漆を2回、摺り漆を4回、計6回の塗り重ねで重厚な漆器の佇まいを得ている。
■香川産庵治石を使う独自技法「石粉塗」で強い漆器に!
この夜空の表現に一役買っているのが「石粉塗」の技法。「さぬきうるし Sinra」を展開する松本光太さんがオリジナルで編み出した作り方である。
石粉塗は、香川県原産の銘石「庵治石」(あじいし)を粉末にして漆に混ぜて使用する手法で、微細な凹凸感を漆器に与える。庵治石は、「花崗岩のダイヤモンド」と呼ばれるほど硬く、頑丈。器にもこの硬さが備わって、ちょっとやそっとじゃ傷がつきにくい頑丈な器に仕上がる。
石粉塗の漆器はステンレスカトラリーもなんのその。スプーンやフォーク&ナイフでガリガリこすっても全然大丈夫だから、日常使いの食器に向いているというわけだ。普通の漆器ではこうはいかない。
■作家と職人の両A面で漆に向き合う
松本さんは香川に生まれ、高松工芸高校を卒業後、香川県漆芸研究所を経て、人間国宝の磯井正美氏に師事。その後漆芸作家として独立し、第53回日本伝統工芸展では日本工芸会奨励賞を受賞。32歳での受賞は当時の最年少記録であった。
経産省指定の伝統的工芸品「香川漆器」の特有の技である、蒟醤(きんま)、存清(ぞんせい)、彫漆(ちょうしつ)、象谷塗、後藤塗の5技法を受け継いでいる。
輝かしい実績を残しているが、独立当初は食べていくのが難しく、漆器の職人工房を手伝っていたことも。これが転機となった。
「漆器職人の作り方は新鮮で、作家としての技を仕込まれてきた自分にはこの経験が大きかった。これからの香川の漆器には、作家の目、職人の目、その両方が必要だと実感しました」。
同時に、漆器が日常的に使うものから離れてしまっているとも感じていた。そんな現状を打破すべく、2012年に仲間たちとSinraを設立。「毎日使いやすいものであること」「長く使い続けられる丈夫さがあること」「本物の素材を使うこと」の3つを柱に、日常で使えるアイテムをリリースする。
漆塗りの他に、板を組み合わせて箱型の形を作る「指物」の技術を持っているのも松本さんの個性だ。近年はさらに、ろくろを使い、ノミやカンナを木地に当てて成形する「刳物(くりもの)」も自作し、表現の幅を広げている。
■特徴的なリムの仕上げ、そして「錫粉」の蒔絵技法にも注目!
平らな皿部分にぐるりと一周立ち上がるリムも、松本さんが自作した部分だ。5層のヒノキ材を巻きつけたのち、底と内側のエッジを丸く仕上げ、なだらかなカーブを付けた。ここがお盆とは最も違うポイント!
キラキラとした部分は、蒔絵の加飾技法で錫粉を落としたもの。プレートを「銀河」と名付けたように、星々のきらめきを表現している。これがプレートにえも言われぬ高級感を与えた。
■メイン、ワンプレート、晩酌に、使うだけでテーブルの格調がアップ!
プレート皿の形は、他の素材の器ではともかく漆器では珍しい。かくして、まぎれもなく日本の漆器なのにどこか洋皿の気配もある絶妙なバランスのプレートが完成した。
紺と赤のどちらも、和食はもちろん、洋風のサラダなどの料理を載せてもバシッと決まる。日本酒の晩酌ならおばんざいを数種類を載せて。洋食なら余白をたっぷりと取って盛り付けたい。
サイズは直径22cm。ごはんやパン、主菜、副菜をひと皿に載せたワンプレート料理や、カレー皿としても使える。カレーはリムのおかげで最後まですくいやすい!
和菓子やケーキなどのスイーツ皿にもバッチリ。こちらも余白を取ればより素敵に、おいしそうに見える。
伝統技法に根ざしつつも、漆器への感覚的なハードルを下げ、より身近なものとして認知してもらうことを目指すSinraの意欲作。ぜひ「月影」と一緒に使って、その真価を確かめてみていただきたい!
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