「池之端銀革店」のCramp 回転式コインパース

トラディショナルでありながら、オルタナティブ。機械に頼りすぎず、さりとて、手製にこだわり過ぎないという絶妙のバランス感覚でユニークな革製品を世に送り出してきた池之端銀革店。その発想の原点とは。

池之端銀革店の回転式コインパース

大人の遊び心を満足させる
ギミックの効いた小銭入れ

小銭入れはあると便利。でも、なかなか満足いくものと出会えないという嘆きをよく耳にする。思いのほか、かさばるというのも一因のようだ。しかし、池之端銀革店の回転式コインパースは見るからに“らしからぬ”風貌。内側の革が回転し、小銭をすくい上げる。ベルトループに通して腰にぶら下げたり、バッグの持ち手につけるなどといった使い方もできる。
「うちはもともと、財布ではなく、ベルトが専門です。だからこそ、大手の財布メーカーでは作れないような面白い財布を作りたい」と語るのは代表の小野勝久さん。20歳の頃、ベルトメーカーに就職し、革の基本を叩き込まれる。独立後、これまで携わってきた革やシルバーの逸品を取りそろえたショップ兼工房を2004年にオープン。それが池之端銀革店である。

池之端銀革店代表の小野勝久氏

ベテラン勢が知恵を絞り、
若手のアイディアを具現化

一流ブランドのOEM商品を長年手がけてきた小野さんが、ショップ兼工房を構えたのにはいくつかの理由があった。そのうちの一つが「若手を育てたい」という思いだった。池之端銀革店では8つの工房と提携しており、そのうち、70代以上を超える職人が3人。一方で、一からものづくりの基礎を教え、若手の職人も育てる。
回転式コインパースの考案者はまさに、そんな若手スタッフの一人だったとか。「最初にできたものは、発想として面白いけれど、とても商品化できるようなシロモノではありませんでした(笑)。みんなで知恵を絞り、アイディアを具現化した。濡れた革に丸い木型をはめて伸ばすという方法も含め、数え切れないほどの試行錯誤の末に、今の形に落ち着きました」(小野さん)。

比類なき「鉋」と「磨き」が生み出す池之端銀革店の回転式コインパース

比類なき「鉋」と「磨き」が
生み出す、美しい革製品

ギミックが効いた面白いアイテム。しかし、池之端銀革店が取り扱う革製品の魅力はそれだけではない。仕上げは昔ながらの本磨きを実施。革の裁断面は手仕事でひとつひとつ、鉋で削り、磨きあげる。「鉋(かんな)と磨きは、うちの得意分野であり、テーマでもあります。革の光沢感もすべて、摩擦によるもの。ラッカーなどを吹き付けてしまうと、革が革ではなくなってしまいますから」(同)。しかし、必要とあらば、機械も積極的にものづくりに取り入れる。
「僕らが作っているのは“作品”ではなく、商品なんです。各工程のプロたちに相談し、使うべきところは機械も使う。“一点もののクオリティで100個つくる”というのが信条です。」(同)

イタリアンショルダーならではの魅力がある端銀革店の回転式コインパース

目利きが選んだ革と共に
時間の経過を楽しむ

回転式コインパースに使われているのは、昔ながらの植物性タンニンなめしの手法を用いたイタリアンショルダー。「国産の革には国産の、海外の革には海外のものの良さがあります。この美しい発色と透明感は、イタリアンショルダーならではの魅力。こうした“良さ”を最大限に引き出すようなアイテムを開発・製造するのが僕らの役目です」と、小野さん。革製品は出来上がり段階では、まだ本来の力の80%しか発揮できてないという。使い込むことで、“その人の形”が革に宿り、艶が生まれ、味わいが深まる。革の楽しみとして、経年変化を上げる人は多い。だいたい半年くらいから、革の色の変化が明確になり、エイジングを楽しむ準備が整う(写真は「ブラウン×イエロー」の新品<右>と半年使用したもの<左>)。思わず誰かに見せたくなる革の楽しみをぜひ体感してほしい。

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