ビールの専門店はもとより、オシャレなカフェでも見かけるようになったクラフトビール。これまでのビール観を覆す様々な色や味わい、飲むシーンの提案に、人気の高まりはとどまることを知らない。お酒好きのお父さんへのプレゼントに、話題のビールをプレゼントしてみてはどうだろう?

「クラフトビール」を広めた立役者
「ベアードビール」のオーナー夫妻
ビールといえば「黄金色で澄んだ発泡性あるお酒」というイメージは、もはや古いものかもしれない。現在世の中を席巻している「クラフトビール」は、これまでのビール観では測れないほどの豊富なバリエーションがあり、シーンや食事に合わせた様々なビールの楽しみ方を提供している。クラフトビールを醸造する代表的なブルワリー(醸造所)のひとつ、静岡県の修善寺にある「ベアード・ブルーイング」は、ブライアン・ベアード氏と妻のさゆり氏夫妻が2000年に創業。90年代半ばのブームで定着してしまった「地ビールはおいしくない」というイメージを塗り替えるべく、市場をゼロから開拓してきたビール業界の立役者だ。その活躍が結実し、かつてないほど豊かなビール文化が日本に根付こうとしている。私たちはいま、その只中を目撃しているのだ。

アメリカから来た異色の醸造家
目指すは日本由来の繊細な味
ブライアン氏はアメリカでビールの醸造を学び、日本にやってきてブルワリーを始めたという異色の人物。なぜ日本を選んだのか? 氏はもともとアメリカの大学院で日本文化の研究をしていたほどの日本好き。そしてビールを愛してきた。「四季に根付いた食文化のように、海外の人に理解されにくい繊細な味を表現したビールを楽しむことができるのは、日本であると思った」(ブライアン氏)と、自らのステージを日本に。定番ビールのひとつ「わびさび ジャパンペールエール」は目指すビールの好例だ。なんと修善寺で採れるわさびを使い、ハーブのような味わいがホップと絡んで複雑な味わいを生んでいる。まさにメイド・イン・ジャパンのビール。そして修善寺の地を生かした、「ベアード・ブルーイング」ならではのビールだ。

日本各地のブルワリーが本気になり
史上最もビールがおいしい時代に
いま日本では、歴史上で最もおいしく、多様な種類のビールが楽しめる時代を迎えている。それは、同社をはじめ各地のブルワリーがビールの味を極めていった賜物。単なる街おこしや観光目的が主だった以前の日本の地ビールが進化し、ひとつの酒の“ジャンル”として受け入れ始めた証だ。いち早く直営店を作り、「ぬるいと言われればビールの適温を説明し、炭酸が抜けていると言われればその特徴を説明しました」とさゆり氏が振り返るように、クラフトビールには、それぞれにもっともおいしく飲む方法がある。合わせる食事はもちろん、ビールの冷やし方や、飲む順番、飲むときの器に至るまで…今までのビールにはないビールの楽しみ方が広がったのだ。 「当時の地ビールが支持されなかったのは、おいしくなかったから。日本のビールはいま、『高くてまずい』というイメージを払拭しつつあります」(ブライアン氏)。

ビールを選ぶという新しい体験
父の日の贈り物にクラフトビールを
ビールを選択できることは素晴らしいことだとブライアン氏は力説する。これまで一種類しか知られていなかった日本のビールが、クラフトビールの盛り上がりによって選ぶ楽しみが生まれたことは特筆すべきこと。赤ワイン好きにはフルボディのビールを、日本酒好きには吟醸香のような香りのフルーティーなビールを。たくさんの種類が入ったビールセットでいくつかの銘柄を飲み比べて、好みを探ってみるのも面白そう。「決して万人向けではないのが、クラフトビールの醍醐味。一辺倒な味ではないからこそ、こだわりを持ってワインやウィスキー、日本酒を飲んでいる人はきっと気に入ってくれると思います」(ブライアン氏)。お酒好きのお父さんに、父の日のプレゼントとしてクラフトビールを贈ってみよう。知らなかったビールの味わいに、きっと驚いてくれるはずだ。
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- <ピルスナー>
- 一般に知られているビールのスタイル。色は透き通ったゴールドカラー。スッキリとシャープな苦みが楽しめる。
ex:Far Yeast Brewing(ファーイースト ブルーイング)Far Yeast Tokyo Blonde
飲みごろ温度:5~8°C
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- <ペールエール>
- フルーティーな香りのある上面発酵ビール。ホップを効かせて苦みを強く感じる。色はゴールドから銅色。
ex:ベアードビール ライジングサンペールエール、常陸野ネストビール ペールエール
飲みごろ温度:10~13°C
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- <アンバーエール>
- ホップを効かせながらも、カラメルのようなモルトの風味を強く感じる上面発酵ビール。色は赤〜茶色。
ex:常陸野ネストビール アンバーエール
飲みごろ温度:10~13°C
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- <ブラウンエール>
- ほのかに甘く、ナッツのようなフレーバーを感じるエール。色は茶色。
ex:ベアードビール アングリーボーイブラウンエール
飲みごろ温度:10~13°C
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- <IPA>
- ペールエールをベースに、さらにホップを大量に効かせた苦いビール。色はゴールド〜濃い銅色。
ex:ベアードビール 帝国IPA、常陸野ネストビール ニッポニア
飲みごろ温度:10~13°C
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- <ベルジャンホワイトエール>
- オレンジピールやコリアンダーなど、スパイシーなアロマがあるホワイトビール。色は濁りのあるゴールド。
ex:常陸野ネストビール ホワイトエール
飲みごろ温度:8~10°C
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- <ポーター>
- ローストされたモルトの香ばしさがあり、甘味が強い黒ビール。色は濃い茶色〜黒。
ex:ベアードビール 黒船ポーター
飲みごろ温度:12~14°C
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- <スタウト>
- きめ細かな泡、焦がした麦芽の苦みと、ドライな後味がある黒ビール。色は黒。
ex:ベアードビール 島国スタウト
飲みごろ温度:12~14°C