現代江戸切子の頂点級。超絶技巧がひしめく、根本硝子のグラス!
逸品のモノ語り
- ①繊細かつ豪華絢爛。極限の江戸切子
- ②吉祥の生き物を彩る精緻なカットの連続
- ③名匠が命を吹き込んだ、鳳凰と孔雀の荘厳な姿
- ④最高の素材に、根本硝子ならではの技巧を注ぐ
- ⑤至高の酒時間をもたらすグラス
歴史に残るべき作品。思わずそう語りたくなるものとの出会いは、まさしく僥倖と言える。根本硝子工芸が産んだ「ロックグラス 鳳凰/孔雀」は、圧巻の迫力と繊細な美が競演する。新たなる傑作が生まれ続けている江戸切子界においても、これほどの作品とは、そう簡単に出会えるものではないだろう。その全容を記していく。
新商品のモノ語り
・モノづくり
5つのポイント!
①繊細かつ豪華絢爛。極限の江戸切子
「ロックグラス 鳳凰/孔雀」はその名の通り、鳳凰と孔雀を主とした作品だ。その仕上がりは豪華絢爛、という言葉がよく似合う。だがカットをつぶさに見ていくと、今度はその圧倒的なまでの繊細さに驚かされることになる。数々の傑作が生み出されてきた江戸切子の中でも、これは極限の一作と言っていい。
②吉祥の生き物を彩る精緻なカットの連続
周囲を彩るカットは、精緻な菊繋ぎ。主題に引けをとらない繊細な煌めきが美しい。
主題の反対側には、それぞれの「尾」が描かれている。鳳凰の尾は優雅な流れが印象的で、根本硝子らしい曲線の美しさが際立っている。
「曲線美」はここにも。絶妙な具合で主題を強調し、その優美な姿を引き立てている。
孔雀の尾は、美しい曲線に直線を連続させた。尾先の楕円には向こう側が映りこみ、様々な角度から覗き込みたくなる魔力を放っている。
下部の蒲鉾カットへの映り込みも「見事!」の一言に尽きる。この絶景は、手にした人にのみ許される特権だ。
③名匠が命を吹き込んだ、鳳凰と孔雀の荘厳な姿
「東京マイスター」や「現代の名工」、さらには「黄綬褒章」を受章した江戸切子の名人である故・根本幸雄氏にはじまる根本硝子工芸。二代目である根本達也氏は「江戸切子界にこの人あり」とまで称される伝統工芸士だ。そんな伝説的な二人の技術と感性を余すことなく受け継ぎ、独自の世界観を確立しているのが、気鋭のガラス作家・根本幸昇氏。若手No. 1の実力と新たな世界観で注目を浴びている。本作はふたりの合作によって誕生した逸品だ。
やはり驚くべきは、周囲のカットから主題の鳳凰と孔雀に至るまで、すべてがハンドカットであること。周囲のカットを幸昇氏が担い、先に磨きをかける。その後、主題となる鳳凰と孔雀を、グラヴィールの技術で江戸切子界に右に出る者のない達也氏が刻み、完成に至る。
羽根の細やかな表現はもちろんのこと、最後の仕上げとなる眼の表現にもご注目いただきたい。表情を左右する部分であり、ほんの一瞬でカットが入ってしまうものだからこそ、全神経を集中させるという。この最後の1カットにより、グラスに生命が吹き込まれるのだ。
④最高の素材に、根本硝子ならではの技巧を注ぐ
素材は薄墨はカガミクリスタル。アンバーは深川硝子のものを採用。日本の江戸切子で用いられるクリスタル硝子としては、どちらも紛うことなく国内最高峰だ。
キラキラと光を反射する姿は、まさに絶世の美。
最高のクリスタル硝子はひとつひとつ、素材から職人による手作り。だからこそ濃淡も厚みなども、素材の段階から違う。そのコンディションに合った、最善のカットを与えられるかどうか。ここが職人の腕の見せ所だ。優れた江戸切子職人ならば当然のことだというが、それでも 此度のような「精緻なカットと曲線美のなかに佇む鳳凰と孔雀」という特別な表現は、やはり根本硝子の右に出るものはいない。
正面には達也氏の作品であることを証明する「達」の刻印。本作はたしかに合作だが、あえて2人の名を刻まなかったのは、初代の根本幸雄氏、そして二代目である達也氏の技があってはじめて、完成するグラスであるから。抜きんでた才覚ある幸昇氏の、これまでの歴史をつくってきた両氏への最大の敬意が表われている。
⑤至高の酒時間をもたらすグラス
中国などを筆頭に、世界でも人気を集めているという鳳凰・孔雀シリーズ。超絶技巧によってのみ生まれる特別なものだからこそ、手にした時の喜びは大きい。たとえばアンバーカラーなどは焼酎など、透明の飲み物をいれて色合いを楽しんでみてほしい。
薄墨にはぜひウィスキーを。ウィスキー色に染まる鳳凰に酔いしれてみるといい。芸術的な作品だが、グラスとして「飲む」を邪魔しないよう、口元は薄くカットされているため、とっておきの酒の味もしっかりと楽しめるのが嬉しいところだ。
江戸切子界の頂点級の作品を手にできるこのチャンス。江戸切子を愛する人には、ぜひとも逃さないでほしい!