【mirco】TYPE-02

■スイス・バーゼルに新風を巻き起こしたAll made in Japan
50年前、クオーツ式時計が生まれなければ日本の時計はどんな進化を遂げただろう。戦後の日本での機械式時計の技術水準は、実は時計の本場スイスに匹敵するところにあったという。正確で安価な時計の革命を起こしたクオーツ式だが、それがなければありえた時計を夢見た2人の男が2018年10月に設立したのがmirco（現・ミルコジャパン）だ。翌年2019年3月には世界最大級の腕時計の見本市バーゼルワールドで「TYPE-02」の5色をひっさげデビュー。中でもブルーはフランス人の心を掴み大きな反響となり、5月の初回ロット100本は発売前に予約で完売した。日本各地の優れた素材、パーツ、組立技術のある工場を繋ぎ、作り上げた純国産の機械式時計は歴史を巻き直すような少し懐かしい未来の顔だ。日本の時計職人が腕をふるう新たな歴史が生まれる現場に、まさにいま立ち会いたい。

■クオーツショックの起きなかった世界を構築する
1969年のクオーツショックから50年の2019年、国産機械式時計の新たなブランドが世界の注目を浴びながら誕生した。クオーツ時計がもたらしたのは安価で正確な、大量生産で誰もが手にできる時計であり、世界を席巻したクオーツは日本のみならず世界中にショックを与えた。しかし、メンテナンスをすれば半永久的な寿命を持つ、職人の組み立てによって作られる時計を愛好する人々はまずはスイスで、ドイツでと高い技術で作られる時計を見直し始めた。日本でも限られたメーカーで機械式時計は作られているが、世界を照準に技術が継承され発展していくためにはもっと多様性と話題性が必要だった。機械式時計を手がけるオリエント時計に勤めていた平岡氏と、高校の同級生で時計バイヤーを長年勤めた渡辺氏が満を期して立ち上げたミルコはかつて憧れた国産機械式時計の未来の姿を目指している。

■日本のモノづくりと未来の時計職人たちのために
“All made in Japan”という、純国産の機械式時計のために2人は全国を探し歩く。ムーブメントはグランドセイコーをつくっている岩手の雫石から、文字盤や針は同県北上、革ベルトは浅草の革問屋でレザーから探してステッチや厚みにこだわった。それらを組み立てるのは高い技術力で大手の時計製造を数多く受けている群馬精密。全て足で回って見つけ出し、理想の時計を作る環境を築きあげた。それぞれの高い水準で作り出されたパーツが組み合わさり生まれる一本の時計は、今また時計王国としての復活を見せているスイスを目標に「ありえたかもしれない、時計王国ニッポン」をリブートさせるため、各地の技術の伝承と職人の育成を目指す。一本目であるのに「TYPE-02」の名前のわけは、シリーズ化のためで、もっとシンプルな01はすでに構想されており、来年のバーゼルに向けて「TYPE-03」も企画されているのだという。

■遊び心ある色違いベルトのついた全5色。限定入荷
クオーツショックの起きた1969年は、アポロが月面着陸をした謂わゆる”スペースエイジ”。「TYPE-02」ではその後の70年代に主流で作られていたレーシングクロノグラフを採用した。ボリューム感あるケースの中に収まるタキメーターとクロノグラフ、フェイスはシンプルなホワイトから、ブラック、ブルーの個性あるカラーと素材が5色揃い、さらに5色のベルトのほかに、別色のレザーベルトが1本収められている。カジュアルダウンした街やアウトドアのお供に、もしくはブラックやディープブルーのベルトであればビジネスでもちょうど良い抜け感のあるコーディネートを完成してくれる。ちょっと大ぶりで豪華なボックスは木目調に緑のスエードで70年代のアメリカに似合うビリヤード台のイメージだという。こんな遊び心を携えた、懐かしくそして長く未来を共にできる腕時計、ありそうでなかったのではないか。もちろんパーツの修理やメンテナンスには長い期間で対応し、世代を超えて引き継いでもらう時計になることを目指している。日本のモノづくりやサービスを独自に引き上げる、mircoを腕にMade in Japanの誇りを掲げたい。