和紙と絹の混紡が新しい
長良川をモチーフにした岐阜発の角帯
■「あえて曲げる」がユニークで粋!
美濃和紙を使った清涼感のある夏着物「爽衣(そうえ)」に向けた帯として開発されたのがこちらの「角帯 よろけ格子 清流織」。よろけ格子はくねくねと蛇行したラインがユニークな文様だが、それを岐阜を流れる長良川に見立て「清流織」と名付けている。あえて曲がった文様にするのは複雑な工程が必要で、真っ直ぐ織るよりも難しいものだという。しかしいかに難しい作り方をしているのかというよりも、知って欲しいのは腰に巻いたときのすっきりとしたかっこよさ。「爽衣」の紺や黒にとてもマッチするので、ぜひ合わせてコーディネートして欲しい角帯なのだ。
■岐阜のものづくりから生まれる新しい呉服
「柏屋商事」は1928年(昭和3年)に創業した岐阜の老舗呉服問屋だ。岐阜は繊維業が盛んな街で、江戸期の尾張藩から続いているという歴史を持つ。2014年、そんな繊維の街をアピールしたいと生地や縫製のプロを交えて「岐阜シャツプロジェクト」を武藤氏はじめ5人で立ち上げ、大きな反響を得た。このときのシャツが美濃和紙100%で作られたものなのだ。「吸水速乾に優れた和紙の繊維を使ったドレスシャツはすごく気持ちがよく、暑さで有名な岐阜だからこそ説得力もありました。これを呉服の分野にも生かせないか? と考えて研究し、完成したのが今回のシリーズです」(武藤氏)。
■生地のベースは、あの無形文化遺産の技術が
おりしも美濃の和紙技術がユネスコの無形文化遺産に登録され、その価値が日本中で再認識されようとしている。美濃和紙から作られた「爽衣」同様に、こちらの角帯も和紙混だ。そんな和紙由来の繊維の特徴は3つある。ひとつは先述の「吸水速乾性に優れている」こと。こと肌に触れるものに関しては汗をよく吸収してくれ、乾きやすいので衣類がいつまでも濡れたままにならずサラッと快適に。二つ目は「接触冷感」があること。生地に触れるとひんやりとした触り心地があり、蒸し暑い日には特にその効果が肌で感じられることだろう。最後に「綿よりも軽量」であること。ただでさえ軽やかな夏の和装において、綿のみで作るよりもさらに軽く仕上がり、着ていてもストレスを感じずに過ごせるのがありがたい。
■夏着物×帯色の組み合わせが楽しい
3カラーで展開する角帯は、「爽衣」のそれぞれのカラーに対応している。ベージュ×ブルーとネイビー×ブルーは爽衣の紺や郡上本藍染に。紺地の夏着物と帯のブルーで、青系統のコーディネートが完成、非常に爽やかな姿となる。レッド×ブラックは漆黒や墨黒に。尾張といえばあの武将、織田信長が浮かぶが、黒と赤の組み合わせは洒落者だった信長のスタイルをイメージしており、どっしりと構えた落ち着きのある印象になる。表のよろけたラインとは対称的に裏面は細ボーダーで織られており、リバーシブルで使えるので気分によって変えてみるのも楽しい。
カラーバリエーション
夏着物との組み合わせ
アイテム詳細
素材:分類外繊維(和紙)55%、絹45%
生産国:日本