無機質なガラスなのに、なぜか優しい温かみを感じる江戸切子が人気を博しているフォレスト。「蒲田モダン」と名づけられた同社のブランドの中でも、水鏡シリーズは、自然界の美しさを表現した人気商品。伝統を守るだけでなく、見て、触って、使ってもらって楽しめる器作りを目指していく。
全国総数720点の中から選ばれた
国内外が認める特別な切子
江戸の優れた技術を今に残す「江戸切子」。その伝統に斬新な意匠を凝らし、注目を浴びているフォレスト。同社のブランド「蒲田モダン」の水鏡シリーズは、切子職人だった、社長の鍋谷孝氏の父が得意とした円のカットを活かしたもの。鋭角的な幾何学模様が多い切子だが、同シリーズは水滴が繋がり広がっていく自然の様子を写し取った、生命のぬくもりを感じさせるデザイン。このシリーズのグラスは、2012年、国土交通省観光庁が主催した「魅力ある日本のおみやげコンテスト」で全国総数720点の中、「外国人が見て日本の持つ品位や品格を感じられる、特別なモノ」という選考基準で審査された「LUXURY JAPAN賞」を受賞。日本だけでなく海外からも高い評価を受けている。
新しいのに懐かしい
ぬくもり溢れる商品づくり
切子職人の長男として生まれた鍋谷氏は、広告代理店でプロモーションなどに従事した後、江戸切子の企画デザインやプロデュースを手がける会社を設立。当初は、父の工房と様々なテーマでオリジナル切子製品を製作。現在は父の工房を継いだ弟が製作するという二人三脚のかたちで新しい商品を生み出している。鍋谷兄弟の生まれ育った蒲田は、「松竹キネマ蒲田撮影所」があったことから、大正から昭和初期にかけてモダンな街として栄えた。「グラスひとつとっても自分だけでは作れません。蒲田という街に生きた名も無き職人や、商人など沢山の人のおかげで今がある。そんな全ての人に対する感謝と敬意の気持ちを込めた」と、鍋谷氏は自社ブランドに蒲田モダンの名をつけた理由を語る。同社の商品は、新しいのになぜか懐かしい、人のぬくもりに溢れている。
「光をかたちにする」をテーマに
使う人の暮らしを彩る商品作り
切子の最大の特徴はそのカットにある。平らなガラスの表面に彫刻を施すことで屈折した光が、新たな生命を得たように輝きを放つ。これを鍋谷氏は「光をかたちにする」と表現する。澄みわたる朝の陽光、夕暮れのやわらかな日差し、家族団らんの夕餉の照明と、時間や場所によって違った顔を見せる切子の輝き。古来より、人は岩や木に祈りを込めて彫刻を刻んだ。ガラスに彫刻を施す切子もまた、祈りの作業だという鍋谷氏は、自社の商品を使う人々の光にあふれた幸せな暮らしを常にイメージしている。そんなフォレストの切子が放つ光は、温かく優しさに満ち、使う人を幸せな気持ちにさせる。
日常を特別な時間にしてくれる
一生もののパートナー
あまたある工芸品の中で宝石ともいえる切子は、インテリアとしても親しまれている。だが、現代の住宅事情にあわせたサイズ、デザインの蒲田モダンの切子は使うことによって何倍にも楽しみが広がる。朝一杯の水を飲むとき、大切な人といつもの晩酌をするとき、ひとり本を読みながらのナイトキャップ、会社帰りに買った一輪の花をいける時。切子は日常のありふれた時間を特別なものに演出してくれる。思いを込めたプレゼントとしてはもちろん、自分自身へのご褒美として、ぜひ手元に置いて欲しい。商品となって店頭に並ぶまでに携わった無名の人々の祈りが込められた蒲田切子は、一生ものとして、使う人の暮らしに寄り添ってくれるだろう。
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