フワリとまとうだけで装いを華やかに
九谷焼絵師が生む軽目羽二重の優美なストール
■1400年の歴史を誇る川俣シルク
日本を代表する絹産地のひとつ福島県川俣町。この土地で生まれた「川俣シルク」は、史誌によれば今からおよそ1400年前、崇峻天皇の妃であった小手姫が、蘇我馬子に大和を追われた皇子を探して川俣の地に辿りつき、養蚕を行ったことに端を発すると言われている。江戸時代には大奥にも献上され、絹産業が盛んだった明治~大正時代には、国内加工量の5割以上が川俣から出荷され、海外へもさかんに輸出されていたとか。なかでも代表的なのが「軽目羽二重」。1本の経糸を、細い2本に置き換えて製織した平織物のことで、川俣産地の軽目羽二重は、純白な絹本来の色と、柔らかな感触、しなやかさに優れている。欧米の繊維業界では現在も「KAWAMATA」といえば軽目羽二重を指すほど。そんな、軽やかさと丈夫さを兼ね備えた伝統の国産シルクを今に伝えるのが、齋栄(さいえい)織物株式会社だ。
■老舗が挑む絹への新たな挑戦
昭和27年創業、国内屈指の老舗絹織物会社である同社。髪の毛の6分の1の太さ(8デニール)という超極細絹糸を使った「フェアリー・フェザー(天使の羽)」は、世界一薄くてしなやかな先染絹織物として、その技術が2012年「ものづくり日本大賞」で最優秀賞の「内閣総理大臣賞」を受賞。ほかにも、新進気鋭のアーティストとコラボするなど、伝統を守りながら常に新たな取り組みを続けている。今回登場するのは九谷焼の絵付師、牟田陽日(むた・ようか)氏がデザインを描き下ろした、軽目羽二重のストールだ。繊細なタッチで描かれたボタニカルな絵柄に淡い彩色が美しい本品は、さっと巻くだけで着こなしのアクセントに。“本物”が醸し出す高級感は、カジュアルな装いにはもちろん、フォーマルなドレスに合わせても◎。羽衣のような軽やかな着け心地をぜひ味わっていただきたい。