江戸の庶民に愛された「江戸切子」を日常に
余白の美を粋に愉しむ、洗練×レトロなオールドグラス
■クラシックな江戸切子で一杯。ノスタルジー薫るオールド
江戸切子といえば瑠璃や金赤の鮮やかなガラスを思い浮かべる人が多いだろう。しかし、もともとは透明な“透きガラス”が主流だったことをご存知だろうか。今回ご紹介する「廣田硝子」のオールドグラスは、そんな昔ながらの江戸切子を思わせるノスタルジックな佇まいが魅力だ。レトロな風情を醸すのに一役買っているのが、「古代色」と呼ばれるこのガラス。淡い琥珀色に精緻なカットが並んだグラスは、洗練みと懐かしさが同居した不思議な空気感を纏っている。江戸切子と聞くと「ハレ」のイメージがあるが、このグラスはなんでもない「ケ」の日のテーブルにもそっと馴染むシンプルさが粋。あくまでも“日常づかい”にこだわる廣田硝子だからこそ生み出せた、秀逸な逸品と言える。いつもの一杯をちょっぴり特別にしてくれる、江戸切子のオールドグラス。江戸の庶民を虜にしたその美しさは、令和の日本人の心にも豊かさをもたらしてくれる。
■指折りの老舗。日本人の心と暮らしに寄り添う江戸硝子
実は、日本の硝子食器のほとんどは東京で作られている。硝子が日本の歴史に登場したのは、古くは弥生時代だが、本格的に硝子製品が作られ始めたのは明治以降、品川に硝子製造所ができてから。東京で最も古い硝子メーカーの一つである明治32年創業の廣田硝子は、お菓子問屋の多かった錦糸町エリアで、菓子器やランプシェードなどを作っていた。「食を突き詰めていくと、素材や調理法、味付けはもちろん大事ですが、料理を盛り付ける器や空間の演出など、目から入ってくる情報も味に大きく影響すると思うんです。それが日本人の美意識であり、日本の食文化を支えている精神。だからこそ丹精こめて、日本人にしか作れない独自の食器を作っていきたいですね」と4代目社長、廣田達朗氏は語る。脈々と受け継がれる職人の技と、戦前から社内に伝わるデザインを生かし、日本人の生活に寄り添う硝子製品を生み出し続けている。
■粋人も好んだ「あられ紋」と古代色のグラデーションを愛でる
斜めに交差するカットを織物の「綾」に見立てたという本作。グラスの下部に刻まれたのは「あられ紋」。江戸切子の伝統的な文様であり、そのシンプルな意匠は江戸通人の間でも流行したという。切子のカットは廣田氏が信頼を寄せる東京下町の熟練職人によるもの。上部に大胆に余白を残す構図は日本人特有の“引き算の美”を思わせ、酒を注ぐとその余白部分がスッと映えてくる。ほんのりとアンバーがかった「古代色」のガラスは、レトロな風合いを生むためにわざわざ作り出したもの。「昔は精製の技術に限界があったため、透明度の高い硝子を作ることができませんでした。古き良き時代の硝子の雰囲気に近づけるため、鉱物を配合して古代色を作り上げています」と廣田氏。
■ちびちび呑みたい夜に。江戸切子と、ちょっと良い酒時間を
やや小ぶりの5オンスのオールドグラスは、ストレートでちびちび飲むのにうってつけだ。口当たりの良い薄手の飲み口が特徴で、日本酒、焼酎、ウイスキー、梅酒など、風味豊かな酒をじっくり味わうのにもってこいだ。氷を入れて、少しずつ変化していく酒の味を愉しむのもまた一興。底へ行くほど分厚く仕上げられたガラスは丸氷やかち割り氷を入れても割れづらく、日常の暮らしの中で気兼ねなく扱えるのも嬉しい。「江戸切子は、江戸時代の庶民に愛され育まれてきた文化です。ぜひ普段の生活の中でどんどん使ってほしい。やはりグラスは“使ってなんぼ”ですから」と廣田氏。誰もが使いやすいデザイン、手に取りやすい価格帯には、廣田硝子のそんな思いが隠されている。グラスは高級感ある桐箱入りで、お酒が好きな方やお世話になった方へのギフトにもオススメだ。自宅での一人飲みも増えた今、クラシックな江戸切子を片手に思索に耽るのもいいだろう。
使用イメージ
アイテム詳細
素材:ソーダガラス
サイズ:径7.5×7.4cm
重さ:アイテム単体120g、箱付きで240g
製造国:日本
<取扱注意>
ガラス食器の使い初めは中性洗剤などで洗ってください。
ガラス食器は中性洗剤などで洗ってください。
その際、ガラスを傷つけるおそれのある研磨材入りのスポンジ、金属たわし、クレンザーなどを使用しますと破損の原因になります。