鏨(たがね)で魅せる日本の美
かざり工房"塩澤製作所"
■鏨(たがね)で魅せる日本の美。吉祥文様を散りばめた「華鈴」
日本に古くから伝わる鏨を使い作られる金物。昭和16年、先代の神輿錺職人・塩澤 幹氏が創業。以来72年にわたり浅草の三社神輿をはじめ、深川、千葉の大原など約500基の神輿製作に携わり、東京都墨田区に小さな工房を構える塩澤製作所。鋼鉄製の鏨を叩き、金属に文様を刻んでいく手法で、成田山、西新井大師、川崎大師、浅草寺、九州の唐津城などの寺社仏閣も手掛けてきた。その伝統ある技術は、今、二代目・塩澤政子氏に受け継がれている。歴史ある技術を後世に残すため、その伝統的な手法を生かし、現代の生活の中で身近に楽しんで使ってもらえるものづくりを提案し、発信している。
■銀の鈴チャームができるまで
今回、藤巻百貨店より先行発売されるのは、銀の鈴チャームだ。携帯電話のストラップやキーホルダーとして使える。まずはこの製造行程を説明したい。6枚の平らな銅版を鏨で叩き、それぞれに模様を描く。内2枚は鈴用に空気穴を開ける。鈴の形に合わせて切り抜いた銅板を、3枚ずつつなぎ合わせ丸く加工する。模様ごとにキャストと呼ばれる型を作り、そのキャストに銀を流し込む。そうしてできた2つのパーツを組み合わせ鈴の円形を作り、中に鈴を入れる。これだけのプロセスと細かい作業から生まれる鈴チャームはなかなかない。
■伝統工芸を身近なものに
墨田区石原にある工場へ伺い、二代目・政子氏に話しを伺った。「神社や神輿の錺工芸品として親しまれてきた金物は、日本人なら誰でも一度は目にしたことがあると思います。その金物たちを、より多くの方に知ってもらいたい、気軽に身につけるアイテムとして楽しんでもらいたいという思いから商品企画を始めました。古来より『鈴の音』は難を切ると言われ、今でも神事等に取り入れられています。銀の鈴チャームには、ひとつの鈴に七宝、千鳥、桜、麻の葉という幸運を呼び込む文様を散りばめました。どこか懐かしさを感じさせる鈴の音色も堪能してほしい」。伝統ある金物を身近に感じてほしいという熱い想いが伝わってくる。
■継承されていく鏨の美と技
ここ塩澤製作所には、先代が戦前から大切してきたものを含め、現在1,500種類以上の鏨がある。これは他に例を見ない数だそう。模様が同じであっても、金物のサイズによって使用する鏨を変える。柄をひとつ描く際に使用する鏨の種類は10を越える場合もあり、細かい手作業が多く、一日に制作できる数も限りがある。「塩澤のいちばんの宝物は"鏨"なんです」。と笑顔で語ってくれた政子氏の職人魂に魅了された。鏨の金物は日本の美だ。その技と美が凝縮された鈴チャームに希少価値を感じずにはいられない。
アイテム詳細
製造国: 日本
素材: 銀、絹(組紐ストラップ部分)
内容: 鈴、桐箱、銀磨き用クロス
※長くお使いいただくと鈴が黒ずむことがありますが、同封のクロスで磨いていただくことで表面はキレイに、また溝の奥には黒ずみが残ることで、銀の経年変化を楽しむことができます。
※撮影で使用している鍵や巾着、携帯電話は付属品ではありません。
サイズ: 幅20mm×高さ21mm(鈴のみ/丸カン含む24.5mm)、約7cm(紐)