形、光、透明感。自然の美を映し出す伝統工芸士、鍋谷聰氏が描く、元気印の夏の花。「ひまわり」をクリスタルで表現!
モチーフはひまわり! 夏の大輪を江戸切子に咲かせて。
30年以上もの時を江戸切子と歩んできた伝統工芸士、鍋谷聰氏。ビジュアルに目を引く花をモチーフにしたシリーズに、夏らしい江戸切子が登場する。その名も「向日葵(ひまわり)」。生地の色や性質を知り尽くした彼の手によって、生き生きとした大輪のひまわりが今、クリスタルガラスに咲き誇る!
“自然の美”の表現者。鍋谷 聰氏ならではの曲線美
鍋谷氏といえば、波や水、植物などをモチーフとした作品で有名だ。流れるようなライン、グラスへの映り込みや輝きを活かした意匠が特徴的で、“自然の美”の表現者と呼ぶに相応しい。その卓越した表現力は、長年培ってきたベテランの技を感じさせてくれる。
鍋谷氏が代表を務める東亜硝子工芸では、最上級の品質と輝きを誇るカガミクリスタル製のクリスタルガラスを用いた江戸切子を作っている。ガラスの性質を最も生かした「透明感や光の存在感」にこだわり、カットはそのためにある。削ることによって真なる輝きを得るという考え方だ。
透明感と光を得たひまわりは、何よりも美しく輝く
今回のモチーフとなったひまわりは、誰もが頭に思い浮かべられる夏の花だが、意外にも江戸切子ではあまり見かけない。大きなダイヤを使ったボトムのカットは、ひまわりの黄色い花びらの形を模したもの。膨らみのボリューム感と、とんがり方が、記憶の中のひまわりと容易に重なる。
ひまわりの真ん中の茶色いところは、小さな花の集合体である管状花と呼ばれる部分。ここを伝統文様の「魚子(ななこ)」で表現し底に刻んだ。上から覗き込めば、眼前にまさにひまわりの姿が立ち現れる!
口が当たる部分を波状に残し、その下には菊繋ぎのカットで輝く様子を描く。このキラキラ感は、カガミクリスタル製のクリスタル&精巧なカッティングでないと生まれず、ひまわりの描写もこのようにはならないのだとか。オーソドックスで正確なカットがそれらをさらに引き立てる。
誇らしく咲くひまわりで、元気いっぱいの夏を!
ロックグラスではあるのだが、ドーム型のちょっと珍しい形。サイズも通常よりも少し小さい約240mlで、手の小さい方や女性でも扱いやすいタイプだ。ウイスキーのロックはもちろん、たっぷりとしたグラスで日本酒を飲みたい場合にもいい。お酒じゃなくて水を飲むグラスにしてもよく、むしろカットの表情を楽しむにはそれが一番かもしれない。いずれにせよ、元気いっぱいのひまわりを目にしながらのドリンクタイムは生きる活力が湧く時間になるはず! 3色展開で、まず選ぶならやっぱり黄色。ペアでもう一色を悩むのはいかがだろう。
プロフィール
鍋谷 聰
東亜硝子工芸(株)代表の切子職人
経済産業大臣指定江戸切子伝統工芸士
1993年 父、馨氏(東京都マイスター・大田の工匠)に師事
1994年 カガミクリスタル株式会社入社
1996年 東亜硝子工芸株式会社入社
2005年 第17回江戸切子新作展 東京労働経済局長賞
2006年 第18回江戸切子新作展 グラスウェアータイムス社奨励賞
2008年 第20回江戸切子新作展 経済産業省関東経済産業局長賞全国伝統的工芸品公募展 入選(2008年から2014年)
2009年 第21回江戸切子新作展 組合理事長賞
2010年 経済産業大臣指定伝統的工芸品 伝統工芸士に認定
第22回江戸切子新作展 経済産業省関東経済産業局長賞
2011年 日本のカットグラスの美と伝統展 出展
2012年 大田区ものづくり優秀技能者(大田の工匠100人)
日本のカットグラスの美と伝統展 出展
東京の伝統的工芸品チャレンジ大賞 奨励賞
2013年 第25回江戸切子新作展 組合理事長賞
第13回関東伝統工芸士会作品コンクール 関東伝統工芸士会会長賞東京の伝統的工芸品チャレンジ大賞 大賞(都知事賞)
伊藤忠青山アートスクエア 江戸切子若手15人展 出展
2014年 伊藤忠青山アートスクエア 江戸切子若手16人展 出展
2015年 ロンドン・在英日本大使館「Cut-Glass Accents」出展
2019年 第18回関東伝統工芸士会作品コンクール 関東伝統工芸士会長賞受賞
同年 [有田×野老]展[ARITA×TOKOLO]EXHIBITION 展示協力
2021年 TOKOLO ASAO[CONNECT] JAPANHOUSE LONDON 制作協力