200年以上続く歴史に革新をもたらす
日常の和は、漆の名刺入れから
■漆を持つ楽しみを、まずは名刺入れから
漆と聞いてどんなイメージを持つだろうか。海外では漆器が「japan」と呼ばれるように日本を代表する素材であり、軽くて丈夫、上手に付き合っていけば長持ちする。反面、高級すぎて手が出ないという声もある。もっと日常的に漆製品を使って欲しいとの思いから生み出されたのが、今回の「漆の名刺入れ」だ。シンプルな四角い形状で、フタ部分を引っ張れば「シュポッ」という小気味いい音とともに抜け、収納部分が現れる。表地に施されるのは輪島塗の技術を応用した独特の質感で、現代的な形をしていながらも、たたずまいから感じるのはまぎれもなく和のイメージ。ビジネスシーンの外しアイテムや和装の際に持つネームカードとしてすすめたい、日本の、石川の技術が込められた名刺入れだ。
■江戸時代より続く担い手。7代目の革新性
輪島キリモトの歴史は古く、江戸時代までさかのぼる。1700年代後半に初代が漆塗りを生業としてから連綿と続き、5代目で漆製品のベースとなる木地の作り手に変わり、現在で7代目。当代の桐本泰一氏はプロダクトデザインを学んだ人物であり、企業で内装設計もしてきた経験を生かして、木地作りから漆塗り、そして木材を使った内装のプランまで請け負う。モットーとするのは「暮らしの中で使う漆製品」を作ること。クオリティが高く、工芸品としての美しさへの評価が上がるにつれ「ハレの日」にだけ使うようになってしまった漆製品を、日常的に使ってもらうにはどうしたらいいか? そんな問いを立て、木の素材そのものの価値を伝えるものや、価格は抑えつつも特徴を十二分に発揮した漆器を発信している。
■傷がつきにくい秘密はキリモト独自の蒔地技法
この名刺入れは10の木材パーツを組み上げて作る「指物」で、木地屋としての輪島キリモトの技術の高さがうかがえる逸品。精緻に組み上げられ、布や和紙を張ることで強度を高めているため、ちょっとやそっとじゃ壊れることはない頑丈さもある。表面は輪島キリモト独自の技法「蒔地」で仕上げる。これは、輪島塗の下地の技法を応用したもので、下地に使う輪島の珪藻土を表面に近い場所にも使用し、さらに漆を塗り重ねていく技法。輪島の漆とこの珪藻土とはとても相性が良く、がっちりと接地する。すると、金属でこすってもなかなか傷が付かないほど表面が強くなり、たとえ傷や痛みが出てしまっても修繕がしやすいといった特徴を発揮できるのだ。ベースの木材は輪島塗の主要材であり、石川の県木である「ヒノキアスナロ」を使っている。木も土も、そして漆も、すべて地元のものだからこそ完成できた名刺入れなのだ。
■ビジネスでも和装でも。漆で挨拶を印象づけて
ザラザラとした質感でマットな光沢感のある表面は、使い続けていくにつれ少しずつ滑らかになり、ツヤが増すととともにやや色も明るくなっていくという変化の過程が楽しめる。収納は20枚程度で、頻繁に名刺交換をしない人なら十分な枚数が入る。またはサブの名刺入れとして持っていたり、和モノが好きな相手にはこの名刺入れから差し出して話題を広げたりといった使い方もできそう。同じ漆を使ったアイテム「印伝」とはとてもマッチするので、合切袋のユーザーには特にすすめたい。観劇時の和装と合わせるのも粋だ。6つの色はどれも漆のしっとりとした色合いが魅力。自分用にはもちろん、プレゼントしても喜んでもらえそうだ。
カラーバリエーション
アイテム詳細
素材:木地/あすなろ材、塗装/天然漆、珪藻土を焼成粉末した輪島地の粉、綿布、和紙
サイズ:H10cm×W6.3cm×D1.1cm
重量:約27g
生産国:日本
※表面が汚れたら、水、お湯でぬらした布で拭き取って下さい。
※落下、殴打などで傷ついた場合は有償にて修理可能です(不可能な場合もあります)。