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元公立中学校校長、プロデューサー 藤原和博

藤巻幸大が各界で活躍する方々をゲストに招き、モノとのつきあいかたを語り合う「ゲストインタビュー」。今回のゲストは腕時計からマンションに至るまでさまざまなプロデュースを手がけてきた藤原和博さん。世界、そして日本人に問いかける“ネオ・ジャパネスク”の真髄とは--。(後編)
前編はこちら>

日本人には日本人の
住むべき家がある

藤巻 藤原さんは“ネオ・ジャパネスク”を標榜していらっしゃるけれど、もともと、こうしたものに興味をもったきっかけはどのようなことだったんですか。
藤原 大きなきっかけとしては、自分の家を建てたことですね。子どもの頃に住んでいた昭和の公務員住宅から賃貸マンション、海外赴任先での賃貸戸建て……と一通り経験し、いざ、自分の家を建てようと思ったとき、やっぱり、“北欧風”や“アーリーアメリカン風”の家には住みたくなかった。
藤巻 日本人には日本人の住むべき家があるだろう、と。
藤原 そうそう。かといって、純和風にも無理があるんですよ。本来、純和風の家は最低でも300坪近い土地がないと実現できない。門から玄関までアプローチが必要だし、平屋じゃないと格好悪い。

藤巻 総二階の純和風はありえないんですね。
藤原 せいぜい50坪ぐらいの家で、純和風の良いところをどうやって取り入れていくか。洋式の合理性にも利点はある。例えば、畳に座った生活は天井が高くなり、広々とした空間を味わえるけれど、椅子で生活するほうが便利。ならば、テーブルと椅子を使って生活するんだけれど、これらの脚を短くし、高さを調整すればいいだろうと。これが“ネオ・ジャパネスク”の考え方なんです。
藤巻 やみくもに欧米に憧れるわけでもなければ、極端な懐古主義でもない。このバランス感覚が面白いですよね。

一緒に暮らす愛犬にも
“日本”を求めたい

藤原 最初は家づくりから始まって、今度はその家に似合う犬は何だろうと考える。新しい和風の家に合うのはゴールデン・レトリバーじゃない。やっぱり、日本の犬だろうということで、川上犬を飼い始めるんです。
藤巻 川上犬ですか!?

藤原 (スマートフォンを取り出し)川上犬はこれです。
藤巻 かっこいい! 日本犬ってちょっと狼っぽいんですよね。
藤原 長野県に350頭ぐらいしかいない犬なんですよ。要するに、マタギと一緒にカモシカを追っていた猟犬。ニホンオオカミが祖先であるという説はDNA鑑定で否定されているんだけれど、ときどきメスを山につないでニホンオオカミとかけあわせたりもしていたらしい。

藤巻 いい顔してますねえ。
藤原 川上犬は買えないんですよ。うちの犬は、この犬を育てている村の村長に頼み込んでもらってきた。
藤巻 川上犬飼いたくなりますね。いや、以前、つきあいのあったデザイナーがね、甲斐犬を飼っていたんですよ。
藤原 甲斐犬、柴犬、川上犬と数種類だけが純日本犬なんですね。
藤巻 一緒にいるときに、たまたま街中でちっちゃい子犬を見かけて、彼が言うわけです。「どうして、日本人は海外の犬ばかり飼うんだろう」って。日本男児は、日本犬を飼え、と(笑)。川上犬なんて、最良の選択じゃないですか。
藤原 いいでしょ? ただ、頭はそんなに良くないのがタマに傷。しかも、ものすごく吠えるので室内飼いもできない(笑)
藤巻 優秀な番犬ということですよね。ますます頼もしい。
藤原 近所迷惑になるかなとちょっと心配だったけれど、うちのが吠えるおかげで、周囲の家にも絶対空き巣は入らないから、逆に感謝されています。


“自分ブランド”と仲間が
実現する、新しいものづくり

藤巻 モノと情報が溢れている今、モノとどんな関係をつくっていくのかを探るのがこの対談のテーマの一つなんですが、藤原さんはそのあたり、どうお考えですか。
藤原 欧米がつくったものを買いまくる時代はもう終わったと思うんですよ。それよりも“自分ブランド”をつくっていかなければならない時代に入っている。
藤巻 はい。
藤原 僕が時計をプロデュースしたり、マンションを手がけたり……といったことをしている理由のひとつは、世の中に自分が欲しいものがないから、作ってしまおうということ。じつはもう一つ理由があって、僕のようにまったく愛好家でも専門家でもない人間であっても、デザインして、数十個作って、それを買ってくれる仲間がそのうち半分ぐらいいると、実現できてしまうということを示したかった。

藤巻 凄いことですよね。前例を作ってしまった。
藤原 もちろん、時計でいえば、清水社長(『時計企画室コスタンテ』社長・SPQR総合プロデュ―サー)のように背景をすべてわかってバックアップしてくれる人との出会いがあってこそ実現したわけです。でも、「メーカーでなければ作れない」「大量に注文しなければ、できない」というこれまでの常識が変わった。
藤巻 不可能を可能にしてしまった。
藤原 欧米の巨大ブランドが徹底的に宣伝をして、付加価値をつけて高額なものを売ったり、買う人のプライドをくすぐるというやり方は今も健在です。でも、そうではなくて“自分ブランド”をつくり、そこで共鳴する人とコミュニティをつくるという方向に切り替えると、日本はもっとよくなっていくんじゃないかと思うんです。
藤巻 つながりを作り、コミュニティ育てていくといったことがやりやすい環境も整ってきていますしね。

藤原 日本人にとって、優れたデザインをし、愛好家・ファンを集めて、コミュニティを作るのはもともと得意な分野なんですよ。室町時代、鎌倉時代の頃からやってきたことです。
藤巻 歴史があって斬新! ぜひネオ・ジャパネスクを推し進めていきたいですね

【藤原和博】ハードシェル型リュック「EMU」
「arita」-文字盤と竜頭に有田焼を採用-
「urushi-kiso」-木曽漆の文字盤と竜頭に匠の技が光る逸品-
手巻パワーリザーブ
手巻付自動巻パワーリザーブ
手巻付自動巻機械式

藤原和博
1955年東京生まれ。リクルート東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任後、1993年よりヨーロッパ駐在、1996年同社フェローとなる。2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務める。『リクルートという奇跡』(文春文庫)、『校長先生になろう!』(日経BP)、『つなげる力』(文芸春秋社)など著書多数。日本の技術と職人芸の結晶であるブランドを超えた腕時計「japan」シリーズやハードシェル型リュック・emu“大人のランドセル”のプロデュースも手がける。

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