「SPINGLE MOVE」のレザースニーカー

スマートなフォルムと抜群の履き心地を兼ね備えた純国産スニーカーのブランド「スピングルムーヴ」。広島県備後地区で一貫生産されているスニーカーは、現代では希少となった伝統的技法「バルカナイズ製法」を用い、熟練の職人の手で丁寧に仕上げられている。

“職人の街”広島県府中市から
世界に通用するスニーカーを発信

広島県の東南部内陸地域に位置する府中市。古くから職人気質の息づく土地として知られ、備後地区とも呼ばれるこの地に工場を構える「スピングルムーヴ」は、老舗のゴムメーカー・ニチマン社から派生し、「自社の国内工場で70年以上にわたって培ってきた技術と知識を残したい」想いから2002年に誕生。ブランド名の「スピングル」とは、「スピン」と進行形「~ing」の造語で、その名やロゴマークには「世界に通用する靴として、螺旋を描くように上昇・進化し続けたい」という思いが込められている。同ブランドでは、日本人の足を研究し、履き心地が良く疲れにくい、なおかつスマートでスタイリングしやすい…といった、様々なニーズに応える究極のシューズを追求。その高い技術力や品質は海外からも注目され、2004年にはパリ&ミラノコレクションに登場するなど、高く評価されている。

ロングノーズの細身フォルム
計算されつくした新しい美しさ

全体のシルエットはやや細身。足を入れた時の美しさを意識し、ノーズが長く見えるように履き口を狭くしたデザインが特徴だ。それでいて窮屈感がなく、かつ適度なフィット感を生むよう計算されたフォルムは唯一無二の逸品。同ブランドの象徴とも言える巻き上がったアウトソールは、弾性や耐久性、グリップ力、屈曲性に優れており、トウスプリング(つま先部分)を上向きにすることで歩きやすさも向上。また、アッパーにはスニーカー素材としては珍しいカンガルーレザーや、牛革といった多種多様な皮革を採用している。中でも定番商品に使用されている上質なカンガルーレザーは、年間捕獲量が限られるため、流通量が極端に少なく非常に入手困難な貴重品。各革の素材感や加工によって様々な表情を見せるのも、同ブランドシューズの魅力だ。

スニーカーの伝統的かつ希少な技法
「バルカナイズ製法」を自社工場で

シャープなフォルムに、丸みを帯びた柔らかさとハンドクラフト感、暖かみをプラスする独特のアウトソールは、「スピングルムーヴ」を語る際には外せない「バルカナイズ製法」によるもの。この技術は、1839年にアメリカで開発されたスニーカーの伝統的な製法で、ゴム底を貼り付けるのではなく、硫黄を加えた釜(画像上)で熱と圧力をかけてゴム底と靴本体をしっかりと接着する。現在この製法を一環して行える工場は非常に希少な上、高温の釜を使い、レザー本来の柔らかさを損なわずに仕上げるには、長年の経験と熟練の腕が不可欠。このクオリティーを出せるメーカーは、スピングルをおいて右に出るものはいない。労力と手間暇を惜しまない職人たちの真摯な姿勢が、「靴底に弾力が生まれ、足に密着する」「底が剥がれにくく、型崩れしにくい」と言われる、その高い品質と機能性を支えている。

拘りの詰まった究極の履き心地が
大人カジュアルを快適に演出

多くのリピーターが支持する「履き心地の良さ」を生むのは、数々の工夫と素材へのこだわりだ。最も特徴的なのが、中足骨部分に当たるクッション。凹凸の多い足裏の中心部を支えることで自然なアーチが出来、バランスを保ち、足にかかる体重の負荷を和らげてくれる。もちろん土踏まず部分にも凸状のクッションを施し、踵の芯地には革靴などに使用される「ホットメルト」を採用。踵がぶれず、疲れにくい構造に仕上げている。中敷きのメイン素材は、足を包み込むような柔らかさが長時間持続する、メイク用パフにも使用される天然のラテックスラバーだ。細部にまで手を抜かず、職人が一足ずつ丹精込めて仕上げた究極のレザースニーカー。ジャケットスタイルからカジュアルまで、あらゆるスタイルにマッチし、ラフになりすぎない上品な着こなしを演出してくれる、“大人のための一足”といえるだろう。

達人に訊く!長嶋正樹氏から見る
スピングルムーヴの素晴らしさとは

スピングルムーヴとの出会いのきっかけは、アシックスのオニツカタイガーを復刻した際に、加硫釜での生産をお願いしたこと。色々あたったのですが、その商品を実現出来る工場がこちらだけだったんです。同ブランドの最大の特長はやはり「バルカナイズ製法」ですよね。スニーカーの肝であるソールのゴムは、練ってから素早く釜に入れないとすぐに劣化してしまう。これには熟練の技術が要りますし、とにかく手間暇がかかる。発祥の地アメリカですら今この製法が出来る工場はゼロじゃないかな。手作業でホクシングテープをつり込んでいて、いちばん外側にアウトソールを手貼りしているため、後から修理ができるのもいいですよね。革製のスニーカーは値段も張りますが、これは長く使用できるところが嬉しい。それに、中底のクッション性も良く、足裏のフィット感が素晴らしい。外反母趾など足に悩みを持った方にもおすすめしたい逸品ですよ。

【Profile】
長嶋正樹氏

山長印靴本舗(現・山陽山長)を立ち上げ、オニツカタイガーの復刻版をディレクションするなど、日本の靴業界史を牽引。靴好きにとってはカリスマ的な存在で、シューズプロデューサーとして活躍中。

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