清秀硝子工房の「手磨き」江戸切子

東京・亀戸を拠点に活動する「清秀硝子工房」は江戸切子では珍しい、ソーダガラスを専門に加工する工房だ。自らの手で最後まで作り上げる「手磨き」を武器に、他の作家ではなかなか真似できない表情をガラスに描き出す。その輝きと個性はクリスタルに負けず劣らず、独自の世界を展開していた。

磨き抜かれることで真価を発揮する「手磨きの江戸切子」の姿

磨き抜かれることで真価を発揮する
「手磨きの江戸切子」の姿

ときに絢爛豪華な華々しいカットガラスの世界を見せ、またときには伝統文様を駆使しつつもその作家ならではのイメージを刻みつけ、個性あるガラス工芸として存在感を放つ「江戸切子」。素材のひとつ「ソーダガラス」は一般的なガラス素材ではあるが、きちんと手をかけてあげることで非常にきらびやかな輝きを発揮し、うっとりと眺めたくなるほどの滑らかさが出る。これはカットしたガラスを自らの手で研磨していくことで得られるもので、「手磨き」と呼ばれる職人技。ソーダガラスの手磨き専門の江戸切子を作っているのが、今回ご紹介する清秀硝子工房だ。

少年時代からの夢を叶え、新しい世代の伝統工芸士に

少年時代からの夢を叶え
新しい世代の伝統工芸士に

清秀硝子工房は代表の清水秀高氏が一人で切り盛りする工房。家業を継ぐことが多い江戸切子の加工所では職人が独立することはあまり多くなく、清水氏は珍しいケースといえよう。江戸切子との出会いは中学生のとき。ものづくりが得意で将来はそういう道に進みたいと考えていた清水少年はある日、百貨店の催事に来ていた江戸切子職人と知り合う。そのまま何日も続けて通い、江戸切子の製作工程を見続けたそうだ。「見ていて、その場でものが完成していく様子が面白かったんでしょうね。そのときに自分も江戸切子の職人になろうと決めました」と清水氏は振り返る。高校卒業と同時に硝子工房に勤め、2007年に独立。2010年には(財)伝統的工芸品産業振興協会が定める伝統工芸士の認定を受け、独自の手法で江戸切子の未来を担う。

時間をかけてゆっくりと輝かせる。滑らかな質感が持ち味の切子

時間をかけてゆっくりと輝かせる
滑らかな質感が持ち味の切子

清水氏の江戸切子を語る上で欠かせないのが、「手磨き」による加工だ。手磨きの工程は、カットの工程と同じくらいの時間を要する大変な作業ではあるが、工房に入りたての頃ひたすら切子に磨きをかける毎日を過ごした清水氏は「自分の名前の江戸切子ならばこれなしでは考えられない」と日々研磨に勤しむ。そうして完成した江戸切子はどんな特徴があるのか。まずは先述のとおりきらびやかな輝きを持つ。そしてそもそも軽い素材のため、見た目の重厚感に比べると軽量で持ちやすい。そして最も手磨きならではのポイントが、滑らかなその表情。道具を変えながらカットの一筋一筋を丁寧に磨き上げることで、エッジがありつつもつるりとした触り心地が感じられる。他ではなかなか味わえない感触がユニークだ。

珍しい「黒」を藤巻オリジナルで。マス目のユニーク×極上の触り心地

珍しい「黒」を藤巻オリジナルで
マス目のユニーク×極上の触り心地

藤巻百貨店で扱う清秀硝子工房の第一弾は、なんとオリジナルで作ってもらったオールドグラス。マス目がひとつずつ横にずれながら模様が続く不思議なパターンがモダンで面白い。魚子文・槌目のような文様とで中の液体の透け方が異なり、黒を残した部分は中が見えずと、モザイク状の視覚効果があるようで見ていて飽きることがない。そして近年話題の江戸切子の色である「黒」がまたクール。希少かつ高価、そして加工が難しいというこの「黒」が世の中に出始めの頃、ガラスメーカーに頼まれて加工方法を検討していたのが清水氏。今では自身の定番品としても連ねる色だ。江戸切子は見ているだけでも美しいが、ぜひ実際に触れてその質感を味わってほしい。職人技によって磨きぬかれたガラスの肌に驚き、そして側において置きたい気持ちが湧き上がってくることだろう。

お取扱いアイテム
江戸切子

1834年よりその歴史が始まった江戸切子。その美しい技法は脈々と現代に引き継がれている。伝統工芸士・但野英芳氏が手掛けたロックグラス、ぐいのみは、江戸切子では珍しいデザイン性の高さで、アーティストが手掛けたオブジェのような仕上がりです。|藤巻百貨店|江戸切子 edokiriko 亀戸 藤巻百貨店 公式 通販 墨田 硝子 東京 工房 職人 グラス

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