粋な女性には、ちょっとモダンな“短地”が似合う
艶やかな柿渋カラーが装いに映える、白竹堂の京扇子
■短い扇面が粋!今年の夏は京扇子で女っぷりを上げて
パッと開けば短地の扇面がシャープな曲線を描き、柿渋による鮮やかなカラーが装いにピリッと映える。本日ご紹介するのは、創業300年を超える京扇子の老舗「白竹堂」が手掛ける「短地渋扇(たんちしぶせん)」。短い扇面が特徴的な短地の扇子は、地長と呼ばれる従来の扇子に比べ、モダンでスタイリッシュな印象を与えてくれる。「ここ数年、短地扇子の人気は男女ともに高まっています。シンプルなデザインは普段のファッションにも合わせやすく、軽い力でしなやかな風を仰げるのも人気の理由のひとつです」(白竹堂・上野氏)。エコ志向の高まりから“マイ扇子”を持ち歩く人が増えた今、扇子は夏に欠かせないファッションツールのひとつとなった。品質・デザインともにこだわりの逸品を選びたい、そんな目の肥えた女性たちへ。夏の淑女を粋に演出してくれる、モダンな京扇子はいかがだろうか。
■創業300余年。愛され続ける「白竹堂」の京扇子
扇子が出来上がるまでには、骨作りから地紙づくり、絵付け、組み立てなど約88の工程がある。「白竹堂」では、それらすべてを専門の職人が分業で担当。“国産原料・京都生産”を頑なに貫く、知る人ぞ知る扇子専門店である。「白竹堂」の歴史は古く、享保三年(1718年)、西本願寺前に「金屋孫兵衛」の屋号で寺院用の扇子店を開業したことに端を発する。その後、一般用・贈答用の京扇子を製造販売するようになったことをきっかけに、近代日本画壇の富岡鉄斎氏より「白竹堂」の堂号を拝命。“伝統に新しい風を取り込んだ輝きのあるものづくり”を目指し、若者向けのカジュアル扇子から、ビジネスシーンでも持ち歩けるスタイリッシュなものまで、多様なデザインを幅広く展開している。「涼をとる」という実用面はもちろん、その末広がりの形状から古来より縁起のいいものとされてきた扇子。柄、色合い、香り、そして風を、老舗の一本で贅沢に楽しんでほしい。
■“職人の手”から生まれる逸品。88の工程に凝縮された熟練技
鮮やかながらも深みのある色の正体は、青柿から得られる渋液を何年も熟成させた「柿渋」。防水、防腐、防虫効果があることから、古くから団扇や和傘などに用いられてきた、昔ながらの染料・塗料である。これを和紙の上に幾重にも塗り重ねることで独特の光沢感を生み出し、さらに強度もプラス。「染める季節や、その日の湿度によっても色の出方が変わってくるため、熟練の技術が必要です。日に当たるたびに色が変わっていくのも天然の染料ならでは」と上野氏。柿渋を塗った和紙は非常に硬く、紙を蛇腹に折る“折り”の工程は従来の1.5倍の時間を要するという。また、「通常の扇子は骨の数が20~25本なのに対し、短地渋扇は45本の骨を使っています。そのため和紙の扇面に扇骨を差し込んでいく“つけ”の工程も難易度が上がります」(同)。骨が和紙の中心から少しでもずれると、閉じた時に扇子が湾曲してしまう。糊が乾かないうちに45本の骨を手早く刺していく様子は、まさしく職人芸だ。
■パッと目を引く雅な色あい。柔らかな風を感じる短地扇子
短い扇面と艶やかなカラーが人目を引く「短地渋扇」。カラーは、柿渋本来の色味をほどよく生かした橙、鮮やかな赤、シックなみる藍と紫の全4色。上品さがありつつも甘すぎない絶妙なデザインは、ビジネスシーンから休日のお出かけ、和装まで幅広く使い回せる。「通常より扇骨が多いため、一本一本の骨を薄く仕上げています。ゆえに扇いだ時に竹がよくしなり、柔らかな風を感じられるのも特徴です」と上野氏。親骨には高級感のある艶やかな塗り骨を採用し、閉じた時の“顔”も意識している。驚かされるのが開閉の滑らかさ。“本物”だけがもたらしてくれる極上の所作を、ぜひ一度体感してみてほしい。贈る人を選ばないシンプルなデザインは、母の日や還暦祝い、退職祝いなど目上の方へのギフトにもオススメ。扇面のデザインに合わせたオリジナルの専用袋が付くのも「白竹堂」のこだわりだ。今年の夏は、センスが光る京扇子で小粋な夏女を目指してみては。