「田中帽子店」の麦わら帽子

“日本人のための麦わら帽子”をつくり続けて約130年。一つ一つ職人の手から生まれる「田中帽子店」の匠の逸品は、形、素材感、かぶり心地、その全てに作り手の思いが詰まっている。

(有)ビスポークの黒木克則氏と田中帽子店の麦わら帽子

創業明治13年。
伝統を守り続ける老舗

麦わら帽子が埼玉県春日部市の伝統工芸品であることをご存じだろうか。古くから麦の栽培していたこの地では、明治の頃より麦を使った帽子作りが盛んになり、現在も伝統の技術を継承した麦わら帽子を作り続けている。その先駆けが「田中帽子店」。代々続く職人気質な性格を現在は5代目が受け継ぎ、未だ製造工程は全て手作業。数々の有名ブランドの商品も手掛ける業界では名の知れた帽子店である。しかし、あくまで影の立役者に徹していたため一般にはあまり知られていなかった。そこに目を付けたのが、同じ春日部出身で、皮革製品や雑貨の企画・販売などを手掛ける(有)ビスポークの黒木克則さん。この出逢いが、田中帽子店の名を世に広めるきっかけとなったのである。

“細麦”が織りなす最高のフィット感「田中帽子店の麦わら帽子」

“細麦”が織りなす
最高のフィット感

田中帽子店の麦わら帽子に感銘を受けた黒木さんは、「田中帽子店」のブランドを代表する最高の帽子を作りたいと5代目に持ちかける。「田中帽子店の帽子は、細部にわたって細かな職人芸が施されています。本当にいいものだからこそ長く使い続けることができる。そこで“田中帽子謹製”のタグをつける帽子は流行に左右されないスタンダードなものに絞ろうと決めたんです(黒木さん)」素材には細麦と呼ばれる細い麦を使用。太麦と比べるとより多くの麦を使い、縫製の手間と時間がかかるという。この細麦を熟練の職人がミシンで頭の型になるようクルクルと重ねながら円を描くようにブレード編みで縫い合わせていく。そうすることでよりいっそう伸縮性が高く、フィット感が繊細な帽子になるそう。天然草を知り尽くした職人が選んだ最高級の素材というわけだ。

日本人の頭の形に合わせて作られた田中帽子店の麦わら帽子

日本人の頭の形に
合わせた型

「この帽子は田中帽子店でしか作れない」と黒木さんが語る理由の一つに道具がある。頭部の形を整えるための型は、創業時から使われているもの。海外製品を購入したときに、こめかみの部分が締め付けられて痛くなる経験をしたことがある人も多いのではないだろうか。これは帽子自体が欧米人用に楕円形をしているためで、田中帽子店の帽子ではまずありえないという。「この木型は日本人の丸い頭の形に合わせて作られているため、長時間かぶっていても疲れる心配はありません。海外の帽子を買い慣れている方は、いつもよりひと回り小さいサイズを選ぶくらいでちょうどいいかもしれません。この型を作れる職人も、もう日本にほとんど残っていない。これこそ財産だと思いますね(同)」。

メイド イン ジャパンの「田中帽子店の麦わら帽子」

自然なオフ感を演出し
あらゆるシーンで活躍

シンプルな麦わら帽子は、どんなファッションにもしっくり合うのが魅力。カジュアルな服装はもちろんのこと、例えば休日にジャケットを着てすっきり決めたい時にも、パナマ帽やハンチングではカッチリし過ぎてしまうところを、麦わら帽子なら自然なオフ感を演出してくれる。着物や甚平など、和服のスタイルに合わせても小粋だ。そして、田中帽子店の更なる秘策が内側の汗止めの部分に付いた「面テープ」。これにより、1~1.5cmの頭周りの調節が可能で、通常のサイズだと頭周りが大きすぎて合う帽子がない・・・という年配の方にも喜ばれているという。細部にまで行き届いた配慮は“メイド イン ジャパン”に共通する精神。極上のフィット感をぜひ体感してほしい。

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