江戸木目込人形・江戸衣裳着人形 / 松崎人形

100年近い歴史を背景に、決して伝統を軽んずることなく、しかし、新しい時代の流れの中にあっても人々に可愛がられる人形作りを目指す幸一光・松崎人形。節句人形はもちろんのこと誰もが気軽に手に取り、飾ることができる和わーくすで、日本人形に新しい風を吹き込む。

江戸木目込人形と衣裳着人形両方を手がける数少ない人形工房

江戸木目込人形と衣裳着人形
両方を手がける数少ない人形工房

大正9年に創業以来100年近く日本人形を手がけている松崎人形。幸一光と雅号を名乗る現社長・松崎氏は、大学時代に父の逝去をきっかけに人形制作の道に入った。同社は、ひな人形、五月人形の両方の分野で、伝統的工芸品「江戸木目込人形」と「江戸節句人形」(衣裳着人形)を手がける数少ない人形工房である。「最初は衣裳着人形のみだったんですが、木目込み人形を始めたのは父の晩年の頃からです。私は大学で彫刻を専攻していたので、型を作る木目込みなら自分でもできるかなと思いました」と語る松崎氏。同社の五月人形は、顔の種類が豊富なことが特徴。贈る子供に似た顔を探す顧客も多いと言う。「あまりに似てるので見て欲しい」とその子供の写真を送ってきた人さえいたそうだ。

小さな人形・和worksは多様化するライフスタイルに

小さな人形・和worksは
多様化するライフスタイルに

節句人形と言えば、シーズンになると箱から出してきて飾り、家族で楽しむ。「子どもの身代わり・厄除けになる」といういわれから、現代でも人形を愛でる風習は生き続けている。そんな日本ならではの伝統を途絶えさせてはならないと、さまざまな試みに取り組んでいるのが松崎人形である。「ライフスタイルの変化も見過ごせない原因です。日本家屋じゃなくても違和感なく受け入れられる人形を作らなければ」と語る松崎氏の発案で作られたのは、「小さな人形・和works」と呼ばれるシリーズで、大黒様などの七福神や福助がラインナップされている。

目が合ったから欲しい人形は、ものであってものではない

目が合ったから欲しい
人形は、ものであってものではない

松崎人形の特徴は、長い間飾っていても飽きのこないように抑えた色調、独創的な造形にある。顔のかわいらしさは、もちろん大きなポイントだが、それだけではない。「人形は全体の雰囲気が重要です。道を歩いていて可愛い子に出会ったとします。あんな子のような人形を作りたいと思っても、同じようにはできない。だから自分でテーマを決め、さまざまなものからヒントを得て作業を進めていくのが楽しいんです」と語る松崎氏。そんな丁寧で心のこもった人形作りには、「目があったから欲しくなった」と言うファンも多い。人形は「もの」であるのだけれども、無機質なものの範疇におさまらない、何とも言えない魅力があるということなのだろう。

贈る人も、贈られる人も大切にしたいと思える人形作り

贈る人も、贈られる人も
大切にしたいと思える人形作り

以前、「小さな人形・和works」のアイテムの福助を購入した人から、「頭が割れてしまったので修復して欲しい」という依頼が入ったという。買い換えた方が早く安いぐらいだが、どうしても直して欲しかったらしい。人形は、贈る人には贈る気持ち、贈られた人には一緒に過ごす間に生まれる愛着というものがある。「作る方としては、そういう人の気持ちを疎かにしたくない。人が人形を飾る場の演出も考えて行きたいと思っています」と語る松崎氏の子息・篤氏は、そのまま人形を置く台として使えるパッケージデザインを手がける。これからの人々の心に寄り添う人形がここにある。

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