江戸の町でも愛された銀器の伝統的な製法を代々受け継ぎ、日本が世界へ誇る伝統工芸となった「東京銀器」。「鍛金(打ち物)」「彫金(彫刻)」「切ばめ」「鑞(ろう)付け」の4つの技法により、美しい光沢と滑らかな肌触りをもつ銀製品は生み出される。
「銀師」と呼ばれる銀職人が
江戸で花開かせた伝統工芸
かつて、岩見銀山など多くの鉱山をもつ世界有数の銀の産出国だった日本。法隆寺献納御物のなかに、すでに多くの銀器が残されており、このころから非常に高い技術を有していたのがわかる。江戸時代には、銀製品を作る職人は「銀師(しろがねし)」と呼ばれ、大名に求められるまま銀器の製造に勤しんでいた。それまで、特権階級の身の回りの品や、神社仏閣の装飾金具などに使われていた銀製品も、町人文化が花開いた元禄時代には広く庶民にも普及し、女性の髪飾りや男性の煙管などが作られるように。貨幣を作る金座、銀座もあった100万人都市の江戸で、銀器の製法は成熟し、明治の頃には、世界に誇れるほどの独自性を持つにいたる。その伝統的な技法は「東京銀器」へと受け継がれている。
まるでシルクのような滑らかさと
磨くほどに深まる光沢が銀の魅力
銀の魅力は、金属でありながら温かみを感じさせるその独特の質感にある。人類が古くから日用品を作るのに用いてきた銀は、熱伝導や可視光線の反射率などに優れた素材。大変柔らかいため加工しやすい反面、純度100%(地金)のままでは耐久性に乏しい。わずかな硬質の金属(割り金)を混ぜることで、さまざまな銀製品へと姿を変えるのが銀の特性だ。変幻自在でありながら、この非常に繊細な素材をどのように扱い、美しい銀器へと生まれ変わらせていくかが、銀職人の腕の見せどころなのだ。伝統的な技法を大切にし、品質向上のためにたゆまぬ努力を重ねてきた、先人たちの歩みがあったからこそ、東京銀器という日本が世界へ誇る伝統工芸は、揺るぎない信頼を勝ち得たのだろう。
脈々と受け継がれる
“ホンモノ”へのこだわりと技術
明治13年創業、130年を超える歴史をもつ宮本商行。皇室や各宮家、宮内庁、外務省などから用命を賜り、宮内庁御用達の銀製品ブランドとして、いまも、格調高い製品を生み出し続けている東京銀器の老舗は、明治32年には、今の銀座4丁目に店舗を構えていた。銀座を代表するブランドでもあるのだ。創業当時は、外国人向けのタバコ入れや象嵌の額の販売からスタート。永く愛用できる“ホンモノ”にこだわり、美しい銀器を作り続けている宮本商行の製品は、外国公館でも重宝され、迎賓館の晩餐では諸外国からの国賓をもてなし、時代を超え、国境を越え、人びとに愛され続けている。それは、名工と呼ばれる職人たちの、精緻で気品あるもの作りの技によって支えられているのだ。
リーンと音を鳴らして
五感で味わい尽くしたい富士山
東京銀器を伝統工芸たらしめているのは、代々継承されてきた銀器製造の技法と、常に新しい美しさを追求する姿勢だ。職人技のほんの一部を紹介したい。まずは「彫金」。鏨(たがね)やヤスリなどを用いて、金属の表面を彫り、文字や模様を加飾する技術が、銀器を華やかに演出してくれる。茶器や酒器に、美しさだけでなく、実用品としての強度と使い勝手のよさを与えてくれるのは「鍛金(たんきん)」。主に刀剣などを作るために磨かれてきた技術だ。一打ちずつ手打ちで成形していくため、職人の手加減一つで、思いがけない味わいを作りだすことができる。メンテナンスをすれば何代にも渡って末永く愛用できる銀器。あなたの“一生もの”のなかに、このぐい呑みを加えてみてはいかが?。
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ぐい呑み
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165,000円(税込)
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ぐいのみ
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53,900円(税込)