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三越伊勢丹ホールディングス 代表取締役社長 大西洋

藤巻幸大が各界で活躍する方々をゲストに招き、“モノとのつきあいかた”を語り合う「ゲストインタビュー」。今回のゲストは百貨店最大手の三越伊勢丹ホールディングスを率いる大西洋社長です。今もなお自ら店頭に立ち、接客・販売を行う。百貨店の現場を知り尽くした大西社長が考える、男性のおしゃれとは――。(後編)
前編はこちら>

人生の目標となりうる
フルオーダーの特別な靴

藤巻 今回、大西社長が持ってきてくださったお気に入りのアイテムを教えてください。
大西 「シルバノ・ラッタンジ」の靴です。
藤巻 “靴のロールス・ロイス”と言われる、イタリアの最高級のものですよね。
大西 300~400ある靴作りの工程をすべてハンドメイドで行っているのは世界でも、ラッタンジのオーダーメイド靴ぐらい。
藤巻 ラッタンジとのご縁は?
大西 伊勢丹メンズ館を立ち上げた際、数年がかりで交渉し、オーダー会の開催にこぎつけました。ラッタンジのオーダーメイド靴といえば、一足80万円以上する高価なものです。ぜひとも実現したい、実現すべきだという想いがある一方で、果たして何人のお客様が来て下さるのか……という不安もありました。

大西 ところがフタを開けてみると、全国各地からお客様が訪れてくださった。
藤巻 さすが伊勢丹ですね。
大西 広島からいらした、あるお客様は3足も注文されてしかも目に涙を浮かべていらっしゃる。お話を伺うと、20歳の頃にローマに行き、ラッタンジの工房を見て、「いつか自分がちゃんと稼げるようになり、社会に貢献できるようになったら、この靴を買おう」と心に決めていらっしゃったそうです。その夢をようやく実現できたと。
藤巻 いい話ですね。大西社長の靴もその時に……?
大西 伊勢丹メンズ館でのオーダー会が好評だったので、三越でもラッタンジ氏を招いてオーダー会を実施することになったんです。ところが、予想に反してお客様がまったくいらっしゃらず、ラッタンジ氏もどんどんご機嫌が悪くなり……。
藤巻 うわぁ……針のむしろですね。


大西 お昼を過ぎても、14時になっても、お客様が一人もいらっしゃらない。これ以上はもう無理だと思い、自腹を切ってオーダーしました。
藤巻 まさか、そんな出来事が(笑)。でも、どんなに“いいモノ”だと確信あっても、それが必ずしもお客様の心に届くとは限らないんですよね。そこがバイヤーという仕事の怖いところでもあり、面白いところでもあります。
大西 同じ百貨店であっても、お客様のニーズはまるで異なるということを身をもって経験しました。それにしても、清水の舞台から飛び降りるような買い物でした(笑)。以来、パーティや取材など特別なときには、このラッタンジの靴を履くようにしています。年に数回だけ登場する、特別な靴です。

「自分を知る」という
オーダーの醍醐味

藤巻 日本人男性もおしゃれな人が増えているけれど、靴までこだわっている人はまだ、そう多くないというところもありますね。
大西 どうしてもスーツとワイシャツ、ネクタイあたりに意識が集中してしまうのかもしれません。
藤巻 もったいないですよね。女性に比べて、個性を表現するアイテムが少ない男性にとって、靴は本来、とても重要な役割を果たすはず。
大西 自分に合う靴に巡り会えていないせいかもしれません。英国靴のはきやすさ、イタリア靴のデザイン性の高さなどお国柄もありますし、各靴メーカーによっても特徴は多種多様ですが、既製品だとなかなか100%自分の好み、自分の足の形に合うものというのは難しい。

大西 一度オーダーメイドを体験してみると、求めていた靴の理想像がくっきりし、靴選びの指針が見つかるかも知れません。
藤巻 大西社長ご自身はどういうタイプの靴がお好きなんですか。
大西 このラッタンジの靴がまさにそうなんですが、どこかシャープな雰囲気があるものに惹かれます。
藤巻 週末はやはり、ご自分で靴を磨いたり……?
大西 僕はこまごまと手入れをするのは苦手なんですよ。
藤巻 えっ、そうなんですか!?
大西 続けて履かないようには心がけているんですが、そこまでマメではなく(笑)。1~2ヵ月に1回、店に持ち込み、プロにメンテナンスしてもらっています。


藤巻 逆に言えば、革に四六時中触っていたい僕らのような“革オタク”でなくとも、靴のおしゃれは楽しめるし、忙しいビジネスマンでもうまくプロの力を借りればいいということですよね。
大西 一週間は同じ靴を履かずにローテーションできるのがベストですが、難しいようであれば、続けて履かないようにするだけでも、靴のくたびれかたがだいぶ違ってきます。


日本を掘り下げ、日本の良さを発信していくというミッション

藤巻 最近、また「日本のアイテムや文化をどんどん海外に発信していこう」という気運が盛り上がっています。こうした海外へのアプローチについてはどのように考えていらっしゃいますか。
大西 海外に出て行くのと同時に、日本を訪れた海外の方々に日本のよいものを紹介するというのも我々のミッションだと捉えています。伊勢丹で定期的に開催している「JAPAN SENSES」もその一つですね。日本には北は北海道、南は九州・沖縄まで数え切れないほどのいいものがある。これらをしっかりリストアップし、企画・プロデュースし、お客様に届けることが結果的に地方の活性化につながったら、こんなに嬉しいことはありません。
藤巻 日本にはまだまだ僕らが知らない素晴らしいものがたくさんある。そのものづくりに携わる凄い人々に光を当てるのも、僕らバイヤーの仕事かもしれませんね。

大西 国内のいいものをもっともっと勉強して、具現化する。そして、国内外に発信していくことが大切だと思うんですが、まだまだリサーチが足りないというのが目下の課題です。
藤巻 いいものを知っている人に会うと、そこからまた、新しい出会いが生まれ、いいものに出会えるというところもありますね。
大西 藤巻さんを見ていると、あるときは石川県能登半島、またあるときは鹿児島と全国飛び回っているでしょう。それぐらいエネルギッシュだからこそ、いいものを探り当てられる。
藤巻 僕自身は「クール・ジャパン」という言葉が今ひとつピンと来ていなくて、「ジャパン・クオリティ」として発信していきたいと考えているんです。質の高いものづくりはもちろん、上質なサービスも日本が誇れるものじゃないかと。例えば、伊勢丹に行くと、スタッフひとりひとりがとても丁寧に接してくれます。こうしたおもてなしの精神もまた、ジャパン・クオリティとして海外に発信していきたいですね。


<対談を終えて……藤巻幸大から大西洋さんへ>

これまで大勢の経営者の方にお会いしてきましたが、大西さんほどオープンマインドな方はそうそういません。
普通は僕がどんなに「いい人だから会いましょうよ」と言ったとしても、なかなか首を縦に振ってはもらえない。
巨大組織のトップともなれば、なおさらです。でも、大西さんは即答でイエス!
そして、足を運ぶことを厭わない。人としてのスケールが全然違うんです。だからこそ、年若いスタッフにも慕われるし、現場の声が直接届く。これからも一緒に百貨店を、そして日本を盛り上げていきましょう!

大西洋
おおにしひろし●1979年慶応義塾大学商学部卒業、伊勢丹(現三越伊勢丹)に入社。紳士統括部長などを経て、2008年に三越常務執行役員、伊勢丹常務執行役員。翌09年伊勢丹社長。11年三越伊勢丹社長。12年2月より現職。

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