世界で唯一の技術を誇る日本の眼鏡工場がその技術を活かし、“自分たちが作りたいモノを自由に作りたい”と立ち上げたブランド「FACTORY900」。世界でも類を見ない独創的なデザインとそれを実現する圧倒的な技術力で、国内外から熱い注目を集める純国産の眼鏡ブランドが、いよいよ藤巻百貨店にお目見えする。
世界が認める眼鏡づくりの町で
曾祖父から受け継いだ職人気質
眼鏡フレームの生産において国内で9割以上のシェアを誇り、世界の名だたるアイウェアブランドから熱いラブコールを受ける眼鏡づくりの町、福井県・鯖江市。今から100年以上も前、“眼鏡産業の父”と呼ばれる増永五左衛門が東京や大阪から現在の福井市生野町に職人を招き、その技術を伝えたのが始まりとされている。そんな五左衛門の従兄弟であり、鯖江で最も早く眼鏡づくりを手掛けた人物である青山彦左衛門の子息が、昭和12年に創業したのが青山眼鏡だ。眼鏡づくりに先駆けてそのための道具づくりから始めたという彦左衛門の職人気質を受け継ぎ、セルフレームの加工にいち早く油圧プレス機を導入するなど、長い間、技術や道具にこだわりながら眼鏡づくりを続けてきた。幾多の眼鏡工場がひしめく町にあって「青山眼鏡に持って行けばなんとかしてくれる」とまるで駆け込み寺の如く認められるその技術力は、世界でも高く評価されている。
ブランド名“工場900”は
オリジナルと自信の証
かつてはその技術力を大手ブランドから依頼を受けて製品を作り上げるOEM製品に注いでいた青山眼鏡が、「技術力を活かして、自分たちが作りたいモノを自由に作りたい」と立ち上げたオリジナルブランドが「FACTORY900」だ。“900”は眼鏡業界における青山眼鏡の工場番号であり、「FACTORY900」は“工場900”。つまり“オリジナルそのものの青山眼鏡”を意味している。ブランド立ち上げの転機となったのは、2000年に青山嘉道氏が入社したこと。同ブランドのデザイナーであり、職人でもある青山氏は、立体感を強調した数々の独創的な製品を生み出し、なかでもゴーグルタイプの斬新な製品で一躍注目を集める存在となった。2013年には眼鏡界のアカデミー賞と評される「シルモドール」のサングラス部門において、「fa-1111」で日本人デザイナーとして2人目となるグランプリを受賞している。
FACTORY900のデザインを
支える青山眼鏡の独自技術
立体感に溢れ、近未来的なデザインが特徴的なFACTORY900の眼鏡。眼鏡といえば実用的なものという印象があるが、むしろ「実用を超えた存在として、人の心を動かす美しいモノを作りたい。未来の眼鏡を作りたい」と青山氏はいう。そのため、作り方自体が一般的な製品とは根本から異るのだという。一般的な製品が、“一枚の板から作られるために基本的にフラット”であるのに対し、FACTORY900の製品では、“一枚の板を造形物とするために面を作り、立体的な加工を施していく”。そうすることで、材料が持つ風合いや色合い、質感もより高まるのだという。ただしこのような加工が実現したのも、青山眼鏡の加工技術があればこそ。「ただ作りたいモノを形にするために」(青山氏)培ってきた伝統的な技術が、導入した先進的な機械が、FACTORY900革新的なデザインを支えているのだ。
顔の造形やシーンに合わせて
個性を演出できる2つのライン
実はFACTORY900には、2つのラインが存在する。立体感と重厚感、近未来的なフォルムがより強調された“大文字”の「FACTORY900」は、アジア人の平坦な顔を引き立てて立体的に見せるよう、骨格や眼鏡を着用したときのバランスまで考慮されていて、欠けていたパズルのピースがぴったりとハマった時のような“しっくり感”を実感することができる。かたや、彫の深い欧米人を意識して作られた“小文字”の「factory900」は、平面的ななかにプラスαで立体感を出したスタイリッシュでウィットなデザインが魅力。どちらも造形美に溢れ、眼鏡を単なる“道具”ではなく、自らの個性を演出する“アイウェア”へと昇華させている点は共通だ。眼鏡やサングラスとして実用的な使い方をするのはもちろん、コンタクトをしながら伊達眼鏡として使うなど、洋服やバッグをコーディネートするように“眼鏡ひとつでできる大人のお洒落”を楽しんで欲しい。