百貨店で飛ぶように売れているシャツがあるという。ニット製品の製造販売及びOEM生産を行う老舗ファクトリー「丸和繊維工業」の自社ブランド<インダスタイル>のドレスシャツである。一見、何の変哲もないシャツなのだが、ひとたび袖を通すと、未知の着用感に圧倒される。その類い稀なる着心地の秘密とは――。
ファクトリー発ドレスシャツ
がもたらす、未知の着用感
昭和31年の創業以来、半世紀に渡って縫製一筋に歩み続けてきた丸和繊維工業。国内トップクラスのアパレルニットのOEM生産を多数手がけ、日本製アパレル商品を支えてきた。同社のオリジナル商品である「INDUSTYLE TOKYO動体裁断シャツ レギュラーフィット」は従来のシャツとは一線を画す。ニット素材ながらカジュアルになりすぎず、オーセンティックなドレスシャツを実現。普通シャツを身につけた状態で腕を上下すると、服全体が持ち上がり、着丈によってはシャツの裾がパンツから出てしまう。しかし、インダスタイルは例外。腕を上げ下げしても、左右に大きく体をひねっても裾の位置が変わらないことに驚かされる。
“日本にしかできない”への挑戦と
ファクトリーの矜持
丸和繊維工業が自社ブランドを立ち上げた背景には、国内ファクトリーの空洞化があったという。「多くの企業が生産コストの削減を目指し、海外進出を果たしました。結果、日本で販売されているカットソー製品のうち、日本製はわずか3%になってしまった」と語るのは、同社営業本部の伊藤哲郎氏。各社が終わりの見えない価格競争に突入する中、丸和繊維工業は独自の道を歩み始める。「伸縮性の高いニット生地はちょっとの力加減でもズレが生じやすく、オートメーション化しづらいんです。きれいに仕上げるためには人件費もかさむ。でも、“日本にしかできないものづくり”を実現すれば、どこにも負けない強みになるとも考えました」(伊藤氏)
スポーツウェアからアパレルへ!
世界に誇る「動体裁断」の技術
自社ブランドを立ち上げるにあたって、最初に丸和繊維工業が取り組んだのは「立体裁断」の勉強会だった。だが、立体裁断を追求すればするほど、デザインは美しくなるものの、動きづらくなってしまうのが悩みの種だった。試行錯誤を重ねた末に、たどりついたのが「動体裁断®」。動体裁断®とは墨田区在住の機能系被服デザイナー・中澤愈氏が人体の皮膚を研究・分析し考案した。文字通り、<身体の動きに合わせて作られている型紙>によって生地を立体的に裁断する。これまでは主にスポーツウェアで取り入れられていたが、最近ではゴルフウェアなどにも採用されるようになっているという。圧倒的な動きやすさが特徴だ。
多忙な大人の日常を支える
“肩の凝らないシャツ”
こうして生まれた動体裁断のドレスシャツは細身でありながら、身体を締め付けることなく、身体のラインにすんなりフィットする。「日常生活では、想像以上に身体を動かすシーンが多い。一度着てもらえたら、どれだけ動きやすいか納得してもらえる自信があります。洗いざらしのシャツをノーアイロンで着ることができるのもおすすめの理由のひとつ。手入れの手間もかからず経済的な上、一般的なワイシャツなどに使われる布帛素材と遜色ないよう、裁断と芯地を工夫。ノーネクタイでもきちんとドレスシャツに見えるよう、仕上げています」(伊藤氏)。多忙な大人の日常を支えてくれる“肩の凝らないシャツ”この機会にぜひ試してみたい。
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