【m＋】GAGLIARDO MEDIO

■渾身の一作、GAGLIARDOにミディアムサイズが登場
その鞄は圧倒的な存在感を放っていた。藤巻百貨店の5周年を記念するアイテムとして先行販売する「GAGLIARDO MEDIO（ガリアルド メディオ）」は、従来の「GAGLIARDO」をそのまま縮小し、より持ち運びやすいサイズにしたもの。蔵前の村上雄一郎氏による「m+（エムピウ）」と、墨田区の工房ショップ「HIS-FACTORY（ヒズファクトリー）」の中野克彦氏がコラボしたバッグ第２の登場だ。イタリア語で「力強い、たくましい」という意味のGAGLIARDOのとおり、オールレザー外装や2本の真鍮のバーで口を閉じるスタイルがクラシックかつ重厚な雰囲気を醸し出す。村上氏が「この人ならば」と中野氏に製作を依頼し実現したモデルは、細部を非常に頑強に作り上げつつも、どこか可愛らしさの感じるアイテムに結実した。ガシッと男らしいバッグが好みなら本家「GAGLIARDO」を、取り回しやすさを優先したり、女性が使うというのであれば「GAGLIARDO MEDIO」がオススメだ。

■隅田川をまたいだコラボ「東京ロマンち」
元建築士の経歴を持つ村上氏が手がけ、「millefoglie」や「cent2」など自由なデザインとユニークな構造美のレザーアイテムで知られるブランド「m+（エムピウ）」。蔵前に拠点を構えるm+が吾妻橋に程近いHIS-FACTORYの中野氏とコラボするきっかけとなったのは、隅田川を挟んでそれぞれ両岸に位置する、台東区と墨田区の職人の合同で取り組む「東京ロマンち」というプロジェクト。そのコンセプトに掲げるのは「妥協せずにきちんと作る」ということ。「量産のものっていうのは、どんどん手を抜く方向に行っている気がしていて。例えば料理だったら、ちゃんと出汁を取って出す。それが普通でしょということを我々職人もやりたいと思って始まったんです」（村上氏）。中野氏の妥協のない鞄作りへのこだわりには、さすがの村上氏も舌を巻くほどだったという。

■驚異的なこだわりを発揮する、中野氏のプライド
中野氏に作りのポイントをうかがった。「こういうバッグは、細部を作り込まないと絶対に壊れるってわかっているんです。壊れないこと、壊れても修理可能なものを目指しました」（中野氏）。特にハンドルの作りこみはすごい。芯は床革を積んで肉盛りし、銀面同士を表にして縫い合わせる。コバは丁寧に面取りした後、塗料などは塗らずに磨きをかけてフィニッシュ。この部分だけでもかなりの時間をかけて、ちょっとやそっとではヘタらない・壊れない仕様にしたという。中野氏が好むという太い番手の糸を使って、ガッチリとした重厚感が印象的だ。「重厚さと長持ちを両方生かすように手をかけています。ここまでやらないと気が済まない性分なので（笑）」（中野氏）。どうやら村上氏のオーダーが、中野氏の職人魂に火をつけたようだ。GAGLIARDOより小さい分、やや軽量になっており、開閉部の革の留め具も、金具を付けて後ろに倒れるようにし、開閉しやすくするなど、ブラッシュアップも図っている。

■圧巻の鞄を少し小さなサイズで楽しめる贅沢
素材は、ボディ部分にあえて表面を摺って独特の表情に仕立てたレザー「プエブロ」と、ハンドル他パーツ部分には発色の良さと堅牢さのある「ブッテーロ」を使用。革好きな方はお分かりだろう、この二つの素材はダイナミックな経年変化が楽しめるもので、使い込んだ後の風合いの違いが非常におもしろい。ブルーはモスグリーンのように、イエローはキャメルカラーに変化していくはずだ。胴体とマチの隙間にはジャケットやストール、雑誌などが挟める上、ポケットが隠れており、携帯やパスケースなど、すぐに取り出したいものが入れておける。A4のファイルや11インチPCが入り、機能性にも優れていて仕事にも使いやすい。手持ち、肩掛け、ショルダーと3wayで使え、カジュアルなスタイルにも合わせやすい。今回はブルー系2色・レッドブラウン・イエローの信号機のようなカラーバリエーションで、特にイエローは女性が使っても似合いそうだ。内装の色も変えているので中がチラリと見えてもオシャレ。二人のレザーの達人が生んだ渾身の一作を、心ゆくまで味わってみたい。