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鹿児島発、どら焼きの体験を刷新する
ラムレーズンの香り高いオトナの和菓子

■どら焼き×ラムレーズンのオトナな味わい
鹿児島の和菓子店が作るオリジナルのどら焼きがにわかに話題になっている。それは、どら焼きのなかになんと「ラムレーズン」を仕込み、甘くておいしいどら焼きのイメージを覆す “オトナの味”を体験できる絶品和菓子。食べてみれば、しっとりとした皮、レーズンの甘酸っぱさ、ダークラムのビターな風味がまず躍り出てまるで洋菓子のようだが、後から追いかけてくるあんこの甘みはまぎれもなくどら焼きのそれ。食べ終わるのが惜しくなってしまうほどの“口福”の後には、ラムレーズンの長い余韻に浸ることができ、その時間もまた幸せだ。どら焼きの名は「ラムドラ」。甘いものに目がない人は、この3つのキャラクターが渾然一体となったハーモニーを味わうしかない。

■時間とともにおいしくなるどら焼きを
この珍しい「ラムドラ」を作ったのは、鹿児島県日置市の「梅月堂」で、大正10年（1921年）創業という老舗の和菓子店だ。2016年に登場したラムドラの前段階として、60年あまり作り続けてきた看板のどら焼きを「ぬれどら焼き」としてリニューアルしたことがあった。代表の石原良さんによれば「できたてのおいしさだけではない、時間がたったからこそのおいしさを、皮があんこになじんでしっとりしてくる様に求めました」。通常どら焼きの皮といえばフワフワ感が身上。梅月堂ではあえて皮を薄めにし、他にはない独自のどら焼きを打ち出した。そしてお酒好きだった石原さんは「お酒を飲む人に好まれるどら焼きとは」を追求し、ラムレーズンを一緒にはさむことを思いつく。濡れたような皮の質感にラムレーズンの風味が加わり、どら焼きの世界がぐんと広がった。

■ラムレーズンとどら焼きの一体感を目指して
あんこは北海道産の大納言小豆を使用し、バターやハチミツを加えてややミルキーなニュアンスに仕上げている。ほろ苦いラムの味わいと好対照で、甘い物好きも納得のあんこだ。実は皮にもひと工夫があり、鹿児島のハレの場で登場する「宝星地酒」を加えている。これによって上品な風味をアップさせた、梅月堂ならではの隠し味だ。肝心要のラムレーズンは、市販のものでは満足できなかった石原さんが自社工場で作ることを決め、様々なラムを試して厳選したダークラムを使用。ラムレーズンにしてどら焼きに入れてもラムの香りやアルコール感がしっかり残って味わい深さが際立たせることを目指したという。すべて手焼きのため一日に作れる数が限られており、店頭で売切れてしまう日も。藤巻百貨店で購入できるのは週に50箱のみ、売り切れ御免のアイテムだ

■包装もかわいい。手みやげや季節のギフトに最適
いまあなたの目の前に、梅の木にうぐいすがとまっている赤い包装紙の、ラムドラが入った箱がある。すぐに封を開けて食べたい。その気持ちをぐっとこらえて、少し時間をおいてみよう。皮がしっとりとなじんできて、ケーキのような食感になり、変化が楽しめるのだ。石原さんによれば、2～3日おいた味わいが好きな人、5日おいたものが好きな人、賞味期限ギリギリがおいしいという人、それぞれに楽しみ方があるそうだ。「中には、お供え物として置いておいて、下げるタイミングで食べるとちょうどい、という方もいらっしゃいます」（石原さん）。そしてこのラムドラは濃く淹れたお茶やコーヒーとの相性がとてもよい。双方の味わいを引き立て合って、よりおいしく感じられる。「芋焼酎のロックと合う」とお酒と合わせる杜氏もいるという。パッケージもかわいらしく、手みやげや季節のギフト、折々のプレゼントにぴったり。この味わいの驚きは、きっと人に教えたくなる。

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