松徳硝子×堀口切子
互いの強みを発揮したコラボロックグラス
■「ありそうでなかった」を実現する巧者2人
「大きすぎず重すぎない日本人に合うサイズ感で、華美すぎずシンプルでカッコよく、酒が引き立ち、飲み口がいい、毎日使いたくなる、値段以上の価値があるロックグラス」。「ROCK」でプロデューサーの立場を勤めた松徳硝子のクリエイティブディレクター・齊藤能史氏は、シリーズのテーマをこのように語ってくれた。江戸切子のカットを担当した「堀口切子」とは2011年に開発したお猪口「回」に続いてのコラボレーション。本作は最初のアイデアから4年以上もの歳月を経て完成したコラボロックグラスなのだ。この度届いた#02、#03、#04の3つのグラスは、ガラス造形の質の高さ、カットパターンの妙を発揮しつつも、全体的にはシンプルな美しさをたたえる。普遍的な造形のように見えて冒頭のテーマのような「ありそうでなかったロックグラス」に昇華しているのが実に巧みで、なんだか心憎い。
■90年以上続く硝子メーカー・松徳硝子
松徳硝子は1922年(大正11年)、電球用硝子の生産工場として創業。その後、主にガラス器の製造を行ってきた。 中でも「一口ビールグラス」と呼ばれる、料亭や割烹で愛用されてきた薄吹きグラスは、半世紀以上のロングセラーアイテム。 そのノウハウなどを生かして生まれたのが、いまやビールのCMなどでは欠かせないグラス「うすはり」だ。手間を惜しまず職人の手によって作り上げられる「うすはり」は、その薄さゆえ粗が目立ちやすく、材料の品質や職人の技術が非常に問われるという。何年ものあいだ磨き上げられてきた「松徳硝子」の職人だからこそたどり着ける境地がここにある。その技術は無論、「堀口切子」とのコラボアイテム「ROCK」シリーズにもいかんなく発揮されている。たとえばグラス上部の薄さや透明感、口当たりの良さは、松徳硝子の持ち味を発揮しているポイントだ。
■シンプルな表現で新たな江戸切子を描く堀口切子
一方、「堀口切子」の堀口徹氏は大正時代から続くメーカーであり、家業であった「堀口硝子」で修行を積み、2008年に切子職人の祖父の号「秀石」を拝命。その後独立して「堀口切子」を興し、伝統的な江戸切子とはやや趣の異なるシンプルな造形で注目を集めている。わかりやすい派手さではなく、シンプルの奥に広がる深みのある表現で勝負する堀口氏は、有名ホテルの内装やアーティストのPVへの作品提供、アウトドアブランドとのコラボなど、江戸切子の世界を飛び出す活躍も見せる。今回の「ROCK」シリーズの鍵となったのは松徳硝子・堀口切子の「双方の見せ場を作る」ということ。「コラボのためのコラボ」ではなく、お互いがお互いを引き立て、これまでにどこにもなかったロックグラスを生み出す―。何度も議論を重ね、真剣なやりとりの末に結実したのが「ROCK」なのだ。
■細かいカットの#04で揺れる琥珀色の時間
細かいツブツブとした「魚子(ななこ)」の模様でガラスをカットし、グラスの下部は手の込んだ江戸切子に。あるところからスパッと柄はなくなり、あとは透明感のある薄手のガラスが広がっていく。シリーズ中最も細かいカットが施された「#04」は、シングルの分量のウィスキーを入れたあたりの高さにまで彫られ、そこには琥珀色の液体がゆらゆらと揺らめくなんとも言えない美しさがある。わずか数cmの帯状のカットなのに、こんなにも印象深く見えてくるのは設計者2人のかけたマジックか。1日の終わり、自宅での最後の1杯を飲むときにぜひ使ってみたい。木箱のパッケージでプレゼントにもふさわしい。
アイテム詳細
サイズ:口径84mm × 高さ88mm
容量:約270cc
桐箱サイズ:縦105mm × 横105mm × 高さ104mm
素材:無鉛クリスタルガラス
※本製品は、ガラスの特性や製法上、気泡の混入や表面及び模様のムラ、記載のサイズ、容量、形状に個体差が生じます。予めご了承ください。