ワイングラスに浮かぶは「漆の富士山」!
岩手「秀衡塗」の名手の逸品をプレゼントに
■メディアで話題、革新的な「富士山」ワイングラス
岩手県の伝統的工芸品「秀衡塗(ひでひらぬり)」は平安時代末期、中尊寺金色堂で知られる奥州平泉を治めていた藤原秀衡が、京より招いた職人に地元の漆と金をふんだんに使った器を作らせたのが起源とされている。雲形の意匠「源氏雲」に草花や吉祥の図案が描かれるのが特徴で、重厚感のある漆絵は見る者を圧倒する。一関で秀衡塗を作り続ける「丸三漆器」は、そんな秀衡塗の技術を応用してとてもユニークなアイテムを生み出した。ワイングラスに富士山の漆絵が描かれ、漆絵の伝統美はそのままに軽やかな透明感が漂うこの逸品は「OMOTENASHI SELECTION」に選ばれ各種メディアにも登場したことで話題となった。
■漆椀を作って100年超。圧倒的な技術力
明治初期に中尊寺付近の増沢地区で「増沢塗」が成立、ここで修業をした青栁清之助氏が1904年(明治37年)に創業したのが丸三漆器である。当時は御祝事や法事を各家で行っていたことから、主に御膳を製造していた。1935年に民藝運動の調査によって、中世に作られていたものの技術が途絶えていた「秀衡塗」を増沢塗職人が復刻し、丸三漆器でも製造するようになった。現在では四代目であり秀衡塗伝統工芸士の青栁一郎氏(写真中央)と、同じく伝統工芸士の青栁三郎氏(写真左)を中心に、奥州藤原氏時代につながる伝統の技をいまに伝えている。また、塗師である青栁匠郎氏(写真右)は「LEXUS NEW TAKUMI PROJECT 2018」に選ばれた職人で、乾漆技法による地球儀のオブジェ「chikyu」を生み出したことも話題となった。
■ガラスに漆絵!? アッパレな秀衡塗の応用
椀を木地から塗まで一貫して手掛けるのが丸三漆器。特に秀衡塗の特徴でもある源氏雲と有職菱文を漆絵で描く「加飾」は、様々な色漆を使って職人が筆で描き入れる気の抜けない工程だ。この加飾をガラスに応用し、およそ15年前に誕生したのが漆絵ワイングラスである。「いまではほかでも作られていますが、当時はガラスに漆絵を施すのは珍しいことで、単にガラス地に漆をのせただけでは剥離してしまうため技術開発からのスタートだったと聞いています」と五代目の青栁真氏(写真左)は話す。さらに、グラスの中からも外からも絵柄が見えるようにするために、まず中から見える絵を描き、下地を塗ってその上に外から見える絵を描くという三層構造にしている。それほど贅沢かつ手間のかかっているのが漆絵ワイングラスなのだ。
■驚異の割れにくさでプレゼントでも安心! 酒と富士山の競演を贈る
青富士、赤富士の二つは漆絵ワイングラスの開発当初に生まれた日本モチーフ。白ワインを注ぎ、口に運ぶときに見える富士山はめでたい気分を高めてくれる。角度によって葛飾北斎の「神奈川沖浪裏(富嶽三十六景)」のように富士山の周囲にぐるりと波が巻き込むようにも見えて楽しく、スパークリングを注げば泡と富士山の競演というあまり他では見れない姿も。香りの豊かな吟醸酒にも向くグラスなので、富士山を長めながら日本酒というのもオツだ。ステム部分までたっぷりと漆が塗られ、金箔が散りばめられているのも豪華で、ディスプレイして眺めるだけでもうっとり。青栁真氏によれば贈答用にものすごく人気が高く、外国人へのプレゼントにもぴったり。ワイングラスはクリスタルに特殊なコーティングを施した素材「ファインクリスタル」で、味わいが感じ取りやすい薄いガラスなのにとにかく「割れにくい」ため、配送のプレゼントでも安心だ。