世代を超えて育ててゆく、“我が家だけ”の道具
いつものお茶をより一層味わい深く。鎚起銅器の一点モノ急須
■燕で240年以上受け継がれる“究極の職人技”を食卓に
「一点モノにして、一生モノ」。新潟県燕市の職人技が生む「鎚起銅器(ついきどうき)」の道具たちは、往々にしてそう表現される。一枚の銅板を叩いて作り上げる究極のフォルムと美しい鎚目、深みのある青色…。全てが文字通り職人の“手”から生まれたものであり、この世に同じ物は二つと存在しないという事実もまた、目利き心を刺激する。これまで、ドリップケトルや豆入れなどのコーヒー道具を多数展開し、いずれも大反響を呼んできた「島倉堂」から、このたび新たに登場するのは「急須」。“コーヒーよりお茶派”という方にとっては、まさに待望の品である。本品を手掛けたのは、島倉堂の二代目・島倉政之氏。洋梨型のぽってりとした急須は茶葉の種類を問わず、日本茶から紅茶、中国茶まで幅広く使えるのもポイントだ。見た目の美しさは言わずもがな、銅ならではの熱伝導率の良さから「茶葉の開きがよく、お茶がいつもより美味しく感じられる」といった声も。毎日のお茶の時間、傍らにこんな急須があったら…。それは紛れもなく“贅沢なひと時”であるに違いない。
■道具から全て手作り。銅一枚から完璧なフォルムを生む神の業
一枚の銅の板を叩いて、まさかこの形が完成するなんて誰が想像できるだろうか? 金属加工において世界にその名を轟かせる新潟県燕市に、240年前から脈々と伝えられてきた伝統技術「鎚起銅器」。1967年創業の「島倉堂」では、親子二代にわたりその伝統と技術を受け継いできた。政之氏の父である島倉板美氏は鎚起銅器の雄として名高い「玉川堂」で15年の修業を積んだ後、退社。溶接業を営みつつ銅器を作るため準備に時間をかけ、その後「島倉堂」として開業した。銅板に焼きなましを加え、「鎚」で叩いて「起」こすことからその技術が名付けられたという謂れのとおり、工房には常に“カンコン”と銅を叩く音が響き渡っている。頼りになるのは己の経験と勘のみ。鎚起銅器の技術を習得するには、最低でも10年の修行が必要と言われる。また、完璧なフォルムを追求するために道具から手作りするのも「島倉堂」のこだわり。特徴的な表面の細かな凹凸は、銅板を一回一回鎚で叩いた何よりの証であり、大量生産の製品では決して味わえない手作りの温かみがそこには感じられる。
■一日一回“愛でる”を日課に。一生かけて味わい尽くす青の変化
青みがかった深い色合いは、形を作った後に表面に錫を溶着させ青銅の合金層を作ってから、硫化液などの独自の溶液に浸し磨くことで生まれるもの。色の出方はその日の気候や湿度にも左右され、“同じ青”が生まれることはまずないという。そしてたまらないのが、その青が魅せる経年変化である。「できれば一日一回、柔らかい布で乾拭きしてください。手入れしながら使えば、文字通り“一生モノ”です」と話しながら政之氏が見せてくれたのは、65年以上も前から島倉家で使っているという茶筒。古色を帯びた風格を備えた茶筒は、手に触れる部分とそうでない部分とのムラさえ美しく、なんとも味わい深い。「これは父が結婚する前から使っていたもので、小さい頃から母が手入れする姿を毎日見ていました。そういう風景も含めて我が家だけの道具であり、決して手放せない特別な物です」と政之氏。銅は錆びやすいイメージがあるが、毎日磨くことで目に見えない段階の錆びを取り除き、美しい経年変化を促してくれるという。ぜひたっぷりと愛情をかけながら、毎日コツコツ育ててほしい。
■思わず唸る、圧巻の水切れ!お茶の味わいは急須で決まる
「おおよそのデザインをスケッチしたら、あとは実際に作りながら微調整を繰り返し、少しずつ完成形へ近づけていきます」と政之氏。「一度で形がパッと決まることはまずない」と語る。特に繊細な技術を要するのが本体上部のくびれの部分。「膨らんだ面と違って、凹面には当て金(※)が使えないため手先の感覚だけが頼り。美しく仕上げるには高い技術が必要です」。注ぎ胴部の絶妙なカーブと0.8ミリの薄さで作り上げた鋭い口先は、水切れの良さも格別。その注ぎやすさたるや、感動モノである。また、熱伝導に優れた銅は茶葉がよく開き、渋みが少なく香りの良いお茶を淹れることができるという。日本茶、ほうじ茶、中国茶、紅茶と、種類を問わず味わいの差を感じてみてほしい。洋梨ボディに欅材のつまみ、籐皮ツルを巻いた後ろ手…。雰囲気たっぷりの急須は、揃いの「茶筒」と並べて置いても画になりそうだ。見てよし、注いでよし、味わってよしの急須は、来客時だけでなく毎日使うのがいい。そしていつか、我が家にとってかけがえのない“究極の一点モノ”へと育ってゆくのだ。
※当て金とは…金槌などで銅板を叩く際に反対側で支える、曲面を持つ鉄材。製品ごとに様々な曲面が必要になるため、この道具もすべて島倉堂で手作りされている。
ディテール
使用イメージ
アイテム詳細
素材:銅
サイズ:胴径105×胴高105mm
容量:420ml
重量:単体251g、箱付き431g ※個体差があります。
製造国:日本
お手入れについて
外側のお手入れは1日1回、タオルなどの柔らかい布での乾拭きです。
拭くことにより汚れ・目に見えない段階のさびを取り除き程よい艶が生まれます。
油汚れ等では中性洗剤での手洗い後、十分水洗いした後タオル等で水気を取りながらふきあげて下さい。
内側には茶しぶ・水垢等付着していきます。
内側のみであれば、台所用スポンジの固い方で擦り洗いしていただけます。注ぎ口内は割り箸等で擦り洗いして下さい。
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