革ベルトを知り尽くした工房がなせる技とデザイン
細部への心配りが光る、魅せる「オーバーベルト」
■国産と手仕事にこだわる90年の老舗
女性にとってベルトは、男性に比べて、ファッションとしての役割が強い。そんな心理を知り尽くして作られているのが、この「ウォッシュナローベルト」だ。手がけたのは、1925年(大正14年)創業の「三竹産業」(代表・麻生和彦氏)。東京・元浅草に工房を構え、“メイド・イン・ジャパン”と“ハンドメイド”にこだわりつづける老舗のベルトファクトリーで、その卓越した技術とデザインはファッション業界でも一目置かれる存在。これまで数多くのコレクションブランドやアパレルメーカーの商品を手がけてきた。オリジナルブランドのファーストライン「ANNAK(アナック)」は、伝統のテクニックに時代の気分をミックスがテーマ。デザインはあくまでシンプルだ。そこには、「無機質なものが増えていくなか、革の手触りを生かした“次世代のスタンダード”をつくりたい」という想いが、宿っている。
■洗って表情をつけ、拭き上げて艶を出す
「ANNAK」とは、じつは“鉋(カンナ)/KANNA”を逆読みさせたネーミング。そもそも鉋は、ドレスベルトの仕上げなどに使われる道具のひとつで、革職人にとって大切な相棒。脈々と受け継がれるクラフトマンシップが、この名に込められている。今回の“ウォッシュドレザー”は「ANNAK」が独自に作った、使い始めからオールド感が漂う特殊な革。はじめに、革をタンニンで丁寧になめし、重たいオイルを塗りこみ、染色・裁断・縫製を行う。そしてここからがすごい。形づくられたベルトをぬるま湯に浸し、ひとつひとつ手で洗うのだ。すると革に独特の表情が生まれる。洗うことを前提にオイルコントロールされた革は、硬くなることなく、味わい深い表情を手に入れる。さらに、自然乾燥させ、ひとつずつ手作業でカラ拭きを重ねることで、革は艶めき、完成を迎える。
■ファッション性を高める小さな金具
この「ウォッシュナロ―ベルト」は、幅17mmと細いベルトながら“ウォッシュドレザー”の風合いと真鍮のバックルで、存在感がある。使い始めからナチュラルな雰囲気を醸し出しているのも魅力だ。オーバーベルトとして使うことを想定してデザインされているだけあり、その細部への心配りが素晴らしい。バックルは、直径50mmと大きめな円を描くが、華奢なピンを合わせることで決して仰々しくない。また、オーバーベルトのデザインの要になる、ベルトの端“剣先”のあしらいが秀逸。“カン(ベルト通し)”がベルトから半身、下にずらして設けられており、ベルトの剣先が無駄にもてあますことなく自然なラインに留まってくれる。この小さな金具ひとつが、このベルトのファッション性を高めている。
■ナチュラルなワンピースに合わせたい
細部へのこだわりはまだまだある。ベルトの先端の切り口は片方に寄せられ、切りっぱなしのようにデザインされている。このラフなカットラインが、革のナチュラル感に見事にフィットする。さらに、ベルト穴にも注目してほしい。細い幅のベルトでは、穴は小さくせざるを得ない。それでもピンが通しやすいようにと、涙型の穴があけられているのだ。涙型の先端部は、万が一でもそこから革が切れていかぬようにと、ストッパーになる切り込みも入っている。革ベルトを知り尽くした同ファクトリーの知恵と技術が詰まったあしらいは、さすがだ。さて、自身のワードローブを思い返してほしい。ざっくりトップス、シンプルなシャツ、ナチュラルなワンピース。このベルトを何とあわせるか…楽しみがふくらむ1本だ。
カラーバリエーション
使用イメージ
アイテム詳細
アイテムサイズ:約15mm幅、全長95cm(中心穴まで80cm)
重量:約80g
素材:牛革、真鍮
原産国:日本
お手入れ方法:表面が濡れた時などすばやく乾拭きしてあげるとシミになりにくくなります。オイルはすでに革に含まれておりますので特に足したりせずにご使用いただけます。
※素材の風合いを生かした仕上げのため、色落ちや衣服への色移りが起きることがあります。あらかじめご了承ください。