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日本の優れた職人との共創プロダクト

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Discover Japan編集長 高橋俊宏(前編)

藤巻幸大が各界で活躍する方々をゲストに招き、“モノとのつきあいかた”を語り合う「ゲストインタビュー」。今回のゲストは「Discover Japan」編集長の高橋俊宏さん。知る人ぞ知る日本を発掘し、その魅力を発信し続ける男のモノ選びに迫ります。(前編)
後編はこちら

不思議な蝶ネクタイの
正体は……備前焼!?

高橋 今日は藤巻さんにプレゼントしようと思って、蝶ネクタイを持ってきたんです。
藤巻 ありがとう! 俺、似合うんだよ(笑)。あれ、この蝶ネクタイって陶器でできてる……?
高橋 備前焼作家・森大雅の作品です。彼は高校の同級生なんですが、祖父以来続く窯を受け継ぎながら、新しいことにもどんどん挑戦しているんです。今年5月にはフランスに渡り、向こうで窯をひらいて備前焼を作るそうですよ。
藤巻 本格的だね。この蝶ネクタイもすごく面白い。パーティのちょっとしたサプライズにぴったり。

高橋 つい先日、一緒にランチをしたときに彼がまさに、この蝶ネクタイをつけていたんですね。一目見て「藤巻さんに絶対似合う!」と(笑)
藤巻 こういうの大好き! 人を惹きつけるモノを身につけるって大事だよね。
高橋 会話のきっかけになりますよね。
藤巻 最近はティッシュを持ち歩くようにしているんですよ。“魔法のティッシュ”って知らない?
高橋 え?

藤巻 (ティッシュを取り出し)こうやって、くしゅくしゅっと丸めて花に代えようと思ったんだけど、たまたまグリーンピースを拾ったから……ほら、シュウマイになったでしょ。
高橋 わははははは。いつも持ち歩いているんですか。
藤巻 うん。あんまりマジメな場所でやると怒られるけど(笑)1000円札から100円玉も出せるよ!(次々と手品を披露)
高橋 さすがですね。
藤巻 ロボットと人間の大きな違いは「ユーモア」でしょう。冗談を言って、誰かを楽しませることができるのは人間だけ。真面目の中にジョークを潜ませ、冗談みたいなことを大真面目にやるというのがいいね。

切れ味鋭く、日本の
地場産業をプロデュース

藤巻 高橋さんは日本のものづくりを盛り上げるコンサルティングチーム「シンケン」の一員でもあるんだよね。シンケンは「真剣にやる」という意味?
高橋 日本刀のように“切れ味鋭く”にも掛けています。
藤巻 ダブルミーニングだ。
高橋 メンバーは中川政七商店・第十三代の中川淳さん、スーベニア・トウキョウなどの仕掛け人としても知られるバイヤーの山田遊さん、プロダクトプロデューサーの丸若裕俊さん、そして僕の4人です。
藤巻 そうそうたる顔ぶれだね。

高橋 これまで地場産業の活性化というと、東京からデザイナーを連れてきて、モノを作って終わりというケースが非常に多かったんです。流通までしっかりデザインする必要があると思って立ち上げたのが、このプロジェクトです。
藤巻 日本のものづくりの現場が抱える課題のひとつに、PR力が足りないという問題がある。モノがいいだけに、本当にもったいないんだよね。
高橋 テーマを絞りきれず、「いいところを全部紹介してしまおう!」と総花的に発信した結果、伝わりづらくなっているケースが多いですね。例えば、茨城県であれば、ただ漠然と県の特産品や観光地を紹介するより、「笠間」にフォーカスをあて、“焼き物”を切り口に魅力を掘り下げたほうがいい。こうした切り口とテーマを定めるお手伝いをするのも僕らの役目です。
藤巻 案外、自分たちではその土地やモノの良さに気づけない。ヨソモノの視点が重要なんです。
高橋 藤巻百貨店もそうですよね。藤巻幸大というバイヤーの目利きで選ばれ、そのモノの背景やエピソードが語られている。
藤巻 そこは絶対にブレたくないし、ブレてはいけないところだね。

成功のヒントは自分たちのルーツの中にある

高橋 「シンケン」チームが最初に手がけたのは、新潟県五泉市のコンサルティングです。昔からニット産業で発展してきた町なんですが、最近はラグジュアリーブランドのOEMが中心で、苛烈な価格競争にさらされ疲弊しつつありました。オリジナルブランドを立ち上げようにも、アパレルは激戦。隙間を狙おうと目をつけたのが「ポンチョ」でした。
藤巻 いい発想だね。
高橋 ポンチョはファッションと雑貨の中間にあるアイテムなので、洋服のセレクトショップにも雑貨店にも置いてもらえるんです。

藤巻 なるほど。名前はどうして「mino」なの?
高橋 新潟県は雪国ですよね。雪国に縁が深いアイテムといえば、蓑(みの)。現代の蓑を作ろうというコンセプトでできたのが、この「mino」シリーズなんです。
藤巻 これは欲しくなるね。
高橋 長年ものづくりを手がけて来た土地ですから、モノ自体はすぐにできる。 問題は「どう作るか」というコンセプトと「誰に買ってもらうか」というターゲットの設定です。
藤巻 そこを見失うと迷路に入り込んでしまう。
高橋 じつはそのヒントは自分たちのルーツにある。まったく新しいものを作るのではなく、自分たちの得意分野の中から“武器”を掘り起こす。「mino」はそんな想いを込めて立ち上げたブランドんです。
藤巻 これは現代風にオシャレにデザインされた蓑なんだね。
高橋 秋冬用と、春夏用の2種類あります。普段は丸めてバッグなどに入れておいて、肌寒くなったらサッと羽織る。畳めば膝かけにもできます。
藤巻 旅行に便利だよね。飛行機やレストランで冷房がききすぎていてツライというときにも良さそう。
高橋 同じニット生地で作ったアームカバーもあります。
藤巻 これもかわいいね。プレゼントに良さそうだな。
高橋 「日焼け予防になる」と女性に人気なんですよ。


■後編『”目利き”を育んだルーツを探る』
全国を飛び回る編集長が肌身離さず持ち歩くアイテムとは……?

~高橋俊宏さんのゲストインタビュー~

【森大雅】備前焼「蝶ネクタイ」
“陶器でできた蝶ネクタイ”。そう聞くだけでどんなものか見たくなるはず。 陶芸家・森 大雅が発信する“身につける備前焼”。

高橋俊宏
たかはしとしひろ●1973年岡山県生まれ。1999年エイ出版社入社。建築やインテリア、デザイン系のムックや書籍など幅広いジャンルの出版を手掛ける。2009年に日本の魅力、再発見をテーマにした雑誌「Discover Japan」を創刊、編集長を務める。雑誌を通して地方活性の活動にも積極的に関わる。現在、やまなし観光大使、山梨県富士山世界遺産センター整備検討委員、いいね! JAPANソーシャルアワード委員会メンバー。

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