「ARKRAFT」の手作り時計

「伝統を踏襲したアンティーク時計」に日本の美意識を感じさせる「遊び心」を加えた作風が魅力の、新木秀和氏が手掛ける手作り時計ブランド『ARKRAFT』。時を重ねるごとに表情が移ろう真鍮やシルバーを使った作品は、自分だけの風合いを醸す逸品へと昇華し、きっと持ち主にとって特別な時計になるだろう。

日本の美を乗せ世界へと波及する
「“粋な”手作り時計」

作り手の想いが込められた独創的なフォルムに、手作りならではの温かみのある佇まい。既存の時計とは一線を画した個性溢れる雰囲気を持つ手作り時計が、新たなムーブメントとして注目を浴びている。日本の手作り時計は、内部を構成する部品には信頼度の高いSEIKO製品などを使い、外観は伝統工芸に通ずる “粋な”遊びを施した日本人ならではのデザインが魅力。手作りが故に生じるゆがみや凹凸がわびさびへと移ろう“日本的な美しさ”が体感させてくれるのは、“未完成のかっこよさ”。時を重ねるにつれてその表情は変化し、自分らしさを表現してくれる唯一無二の時計へと昇華する。そんな「MADE IN JAPAN」の新たな価値を示唆する日本人時計作家の作品が、日本のみならず、世界各国の愛好家たちを魅了している。自分らしさ=個性を感じさせるお気に入りのモノを側に置いて長く愛用することの大切さが、改めて認識されている今の世の中で、手作り時計はぜひ挑戦してみたい逸品だ。

手作り時計の温かみに魅了され
時計作家への道を決意

東京・大阪を中心に活動する気鋭の手作り時計作家たちが所属し、“日本の手作り時計”をけん引する作家集団『JHA(Japan Handcraft watch Association)』。その中でも、独創的な作風で知られる作家・新木秀和氏がプロデュースする時計ブランド『ARKRAFT』が今巷で脚光を浴びている。同氏が手作り時計に出会ったのは今から8年前。後に師事することとなった日本の手作り時計の第一人者・篠原康治氏や増田精一郎氏 【M-Watch Studio】の作品を見て、無骨ながら、包まれるような柔らかさを持つ手作り時計のかっこよさに瞬く間に魅了され、手作り時計作家への道を歩む決意をした。駆け出しから日々研鑽を積み上げ、2012年にオリジナルブランド『ARKRAFT』のアトリエ兼ショップを東京・蔵前にオープン。氏が手掛ける「伝統を踏襲したアンティーク時計」に、手作りならではの「遊び心を」加えた作風は高い評価を得て、手作り時計ファンを魅了している。

想いが形となって現れ、
時計の表情を自分色に彩る

「手作り時計はデザインの自由度がとても高いんです」と語る新木氏。1900年初頭のアールデコ調の美しさに深く感銘を受けた氏が織り成す『ARKRAFT』のベースデザインは、「手作り感」「伝統×現代」、そして「アンティーク」の3種類。どれも作風は異なれど、氏が掲げる「歴史が作り上げた伝統的なフォルムを踏襲しつつ、手作り感ならではの温かみを感じさせるデザイン」というコンセプトに基づいて創造される。藤巻百貨店でも常に人気が高い「Patrice ocean」「Tarrus B」「Donny Pocket」などの最近の作品には、主に真鍮が使われているのが特徴。「真鍮は手入れの具合によって錆の出方が全く異なるので、持ち手の時計に対する想いがそのまま時計の表情を作るんです。そういった意味で、より上質な雰囲気を醸すシルバーも魅力的な素材です。錆の出方がまさに自分色となり、時計の表情を彩る、それが面白いんですよ」(同氏)。

“伝統を感じ、今を刻む”
大人の愉悦を多彩なシーンで

伝統的なマスクと、手作りならではの温かみ。『ARKRAFT』の手作り時計は誰にでも楽しんでもらえるようにと、ユニークながら王道感は外さないデザインで、フォーマル/カジュアルどちらのシーンにもフィットする。今回登場する新作は全4型。真鍮の「Mora」と「Mora small」は、古典的なクッションケースに現代的な文字盤を組み合わせ、使用シーンによってモダンにもクラシカルにも取れる作風。シルバーの「Finley silver」と「Finley silver Small」は、19世紀初頭のクッション型ケースと、白蝶貝を使った懐中時計の文字盤を組み合わせた重量感ある作り。真鍮・シルバーともに手入れ次第で錆の具合が変わるので、時間とともに自分らしい風合いへと変わっていく。既存の時計に慣れている人には難易度が高そうに思えるが、気軽に挑戦して欲しいと価格はリーズナブルに。着ける人や装いによって様々な表情を見せる手作り時計は、持ち主の新たな表情をも引き出してくれるだろう。

Profile
新木秀和

2006年 JHA(Japan Handcraft watch Association)入社
2009年 JHA工房に移籍し、日本の手づくり時計の第一人者・篠原康治氏に師事。
2011年 自身のブランド「ARKRAFT」を立ち上げオリジナルアイテムの制作を開始
2012年 東京・蔵前にアトリエ兼ショップをオープン

TOPへ戻る