新しい有田焼を作りたいという
情熱から誕生した「青花」
古陶磁が持つ温かみや美しさにインスパイアされて誕生した「青花(せいか)」は、天保年間(1830年)創業の「しん窯」が作るブランドだ。「青花」とは中国語で青い模様のこと。そんな青の美しさにこだわった器は、どれも飽きのこないデザインで、食卓に温かみを演出してくれる。
「有田焼に惚れ込んだご夫婦が収集した、江戸時代からの有田焼の一大コレクションがあるのですが、その"柴田夫妻コレクション"をヒントに、有田焼の伝統を受け継ぎながらもモダンにアレンジした"新しい有田焼"を提案しています」(ギャラリーフジヤマ 代表取締役・藤山雷太氏)。
青の美しさの秘密は
自社で開発している濃(だみ)
「染付に使う青い絵の具である濃(だみ)は、市販のものを使う窯も多いのですが、青花では青にこだわり、濃を自社開発しています。大学教授でもある叔父が色彩の研究を行っているので、濃に関しては彼に一任しているんですよ」(藤山雷太氏)。
単調ではない、少し淡く柔らかな青がどこか古陶磁の温もりを彷彿とさせる。さらに、器をよく見るとどれも均等ではなく、色の濃淡やかすれた筆運びが見て取れる。そうした緩やかな余韻が、さらに味わい深さをプラスしている。
くらしの器づくりを大切に
すべての工程を手作りで
有田焼とひと口にいっても歴史も価格もさまざま。そんな中にあって「しん窯」が大切にしているのは、日常使いできる"くらしの器"であること。「口に触れたときのあたりの柔らかさ、持ったときの手馴染みの良さ。素晴らしい技術を持った伝統工芸士が作る蕎麦猪口はおおらかさがあり、しっくりと食卓に馴染みます」と雷太氏。
成形、絵付け、釉薬をかけて窯での焼成…そうしたすべての作業を伝統工芸士であるベテランの職人たちを中心に、手作りで行っているという。
絵付けに込められた
使う人、贈る相手への想い
シンプルながら遊び心あふれる絵付けも見逃せない。使う人が思わず頬が緩んだり、贈る相手への想いを表現したりと多彩な表情を見せてくれる。たとえば、結婚のお祝いにぴったりの「花つなぎ」。"つなぎ"には相手の気持ちが離れていかないようにという意味があり、満開の花のように、夫婦の笑顔もいつまでも満開で…という想いが込められているという。
蕎麦猪口としてはもちろん、アイスクリームやフルーツ、ヨーグルト、ディップなどを入れたりと、アイデア次第で使い道も広がる使い勝手のいいサイズ。コーヒーやお茶を淹れて楽しむのも新鮮だ。400年の歴史を持ちながらも今なお私たちの生活に自然と溶け込む有田焼。いつもの食卓にさりげなく取り入れたい日常の逸品だ。